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REITのM&Aー外国企業による投資の問題点(11)

外国企業が日本のREITを保有する場合、税務上、特に留意する点がある。「不動産関連法人」という税制だ(法人税法施行令187条1項4号)。「不動産関連法人」とは、保有する総資産の50%以上を不動産が占める法人である。そして、REITの発行体である不動産法人は通常、それに該当する。その結果、日本に支店・営業所等PEのない外国法人が上場REITを5%超保有している場合には、それを一部だけでも譲渡すると、その譲渡益に日本の法人税が課される訳だ。税率は、PEのない外国法人には地方税は課されず、通常30%である。

通常の上場会社株式投資より厳しい
この制度のために、PEのない外国法人にとって、通常の上場会社の株式に投資する場合よりも、上場REITを購入する場合のほうが税務上の負担が大きいことになる。すなわち、通常の上場会社の株式に投資する場合は、将来の譲渡の際に「事業譲渡に類似」する株式譲渡(法人税法施行令187条1項3号ロ)に該当しなければ法人税は課されない。「事業譲渡に類似」する株式譲渡とは、外国法人が日本の会社の発行済み株式の25%以上を保有していて、そのうち5%以上を一事業年度内において譲渡することである。したがって、25%未満の保有でありさえすれば、譲渡益に法人税は課されない。他方、上場REITに投資する場合には、上記の通り、5%超を保有している限り、「不動産関連法人」税制により、REITの譲渡益に法人税が課されるのである。

解決策— 租税条約や外国投資信託の利用
REITに投資する外国企業にとって、上記のような税制上の負担を軽くするプラニングの余地はないのか?二つほど思い浮かぶ。一つは、租税条約の利用である。当該外国企業の所在国はどこにすべきかという問題であろう。もう一つは、当該外国企業を日本の税法上は「外国投資信託」とされるように設計することである。最近整備された信託税制を使って、当該外国企業に法人税が課されるのを回避しようという努力だ。この方法は、REITのM&Aの文脈に限らず、今後議論が活発化していきそうな気配のするところである。ここでは紹介だけに留めたい。

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