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Out-In M&Aの税務(インバウンド)— 基本(16)

Out-In M&Aとは、外資系企業による日本企業の買収のこと。買収形態として、ここでは株式を取得する場合を想定する。株式取得に際して、税務上検討することは何か?

PEの有無
まずは、その外資系企業が日本にPE(Permanent Establishment)を持つか否かであろう。日本語でいうと「恒久的施設」である。日本における拠点のことで、典型的には支店がそれに該当するが、日本で代理人を通じて活動している場合にその代理人がPEとされることもある。そのへんは、税法や租税条約の条文でPEの定義を確認しながら事案ごとに判断するしかない。何故PEがあるか否かが重要なのかというと、日本の税法の建てつけとして、外国法人や非居住者に対する課税方法が、彼らがPEを持つか否かで異なるからである。例えば外国法人が日本にPEがあると、日本で稼いだ事業所得について、日本法人と同じように申告課税の対象となる。もはや世界で最高ともいえる日本の法人実効税率(41%強)に服する。これは痛い。

PEがないと・・・
他方、日本にPEがないと、日本での事業所得には全く課税されず、事業所得以外の所得についてその種類に応じて源泉徴収税が課されるだけである。所得の種類によっては、租税条約による軽減税率の恩典があったり、あるいはそもそも日本では無税ということもある。だから、日本の株式を取得する外資系ファンドなどは、特に、日本にPEがあるとされないように気をつけている場合が多い。PEに関する分野では、最近、規制緩和がなされている。PEの範囲から「独立代理人」を除外した2008年度税制改正と、投資組合の外国組合員について一定の要件を充たせば日本にPEがないものとして扱うことにした2009年度税制改正である。後の回でもう少し詳しく述べたい。

次に検討するのは・・・
PEがないとなると次の課題は、所得の種類ごとに源泉徴収税を検討することになる。株式を取得するという文脈では、問題になりうる所得は、主に2種類である。配当所得と譲渡所得である。配当所得について、通常は源泉徴収税の対象となるものの、租税条約による軽減税率の適用がないかという流れで検討される。他方、譲渡所得は、原則は課税されないものの、例外的に課税される場合に該当するかという流れである。この点も、後の回で、もう少し詳細に述べたい。

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