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Out-In M&Aの税務(インバウンド)—三角合併 その?(20)

 外国企業が日本の会社を三角合併で買収する場合、適格組織再編税制を検討する場面を今回も取り上げる。同税制の3類型のうち、共同事業類型を問題にする。その一つの要件が「事業関連性」である。三角合併のポイントは、この要件に関し、買収者自身の事業について見るのではなく、あくまで合併当事者である買収者の完全子会社の事業について見るところである。買収者である外国企業からすれば、三角合併を行う目的で日本に完全子会社を設立することも多いであろうに、設立直後のその子会社は事業を行っておらず、「事業関連性」がないので適格組織再編税制の適用も受けられない、そんな嘆きが聞こえてくる。

 合併当事者の一方が事業を始めていなければ、「事業関連性」を充たす余地はないのか?

共同事業類型「事業関連性」の要件

 「事業関連性」の要件の詳細は、法人税法施行規則3条に定められている。そのポイントとして、まずは、?固定施設(事務所、店舗、工場等)があって、?従業員が存在することが必要である。その上で、?「自己の名義」かつ「自己の計算」で事業等を行っていることが必要なのだが、それは必ずしも、事業を既に始めていることが常に求められている訳ではないのが重要だ。事業を未だ始めていなくても、以下の行動を行っていれば、上記?を充たすことができる。

(1) 広告・宣伝による契約の申込みや勧誘
(2) 自分で事業を行うのに必要な市場調査
(3) 自分で事業を行うのに必要な許認可の申請やその許認可の保有
(4) 知的財産権取得のための出願や登録の申請、知的財産権の保有
(5) 事業を行うために必要となる資産(固定施設以外)の所有又は賃借
(6) 上記に類する行為

 外国企業としては、共同事業類型の三角合併を行うため日本で新たに完全子会社を設立する場合には、上記の要件を充たせないかが検討事項となろう。このとき、国税庁のQ&Aも参照することになる。(http://www.nta.go.jp/shiraberu/zeiho-kaishaku/joho-zeikaishaku/hojin/6037/01.pdf)

 この点、日本での完全子会社がペーパーカンパニーだったらどうなるのか?

 もはや、「事業関連性」はなく、共同事業類型の適格組織再編税制の適用はない。その場合でも、まだ同税制の適用を狙える。まず対象会社の株式を50%超まで取得してから、三角合併をする方法だ。他の類型の適格組織再編税制を使うのである。もっとも、同税制により対象会社の含み益が実現しないというメリットを享受したとしても、「事業関連性」がなくて「みなし共同事業要件」を充たせないので、対象会社の繰越欠損金を使えないということにはなりそうである。

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