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Out-In M&Aの税務(インバウンド)—三角合併 その?(19)

2007年5月以来、日本の会社法上、三角合併が可能になった。三角合併とは、買収者自身がターゲット会社と合併するのではなく、買収者の子会社とターゲット会社の合併だ。ターゲット会社の株主は、対価として、合併当事者ではない買収者の株式を受け取る点も特色である。三角合併が完了した後の最終形は、ターゲット会社が買収者の100%子会社になる。現金を使わないでこの最終形を達成できるところに三角合併の意義がある。同じ目的を達成するための方法として株式交換制度が既に存在しているが、これを利用できるのは日本の会社だけだった。三角合併が認められたことで、外国の会社が日本の会社を買収する場面でも同様の最終形を達成することが可能になった。

もっとも、これまでのところ外国会社が日本の会社を買収するのに、三角合併が用いられた例はない。唯一、類似の方法として、2008年、シティグループが日興コーディアルグループを買収するのに「三角株式交換」を用いたものがあるくらいだ。今後、グローバル経済の回復が進み、外国会社による日本企業の買収案件が増えれば、三角合併を用いた買収も実際に出てくると思われる。

三角合併の税務上のポイント— 適格合併として認められるか?

その際、税務の観点から、何がポイントとなるのか?

まずは、適格組織再編税制を使えるか否かだ。本来であれば、合併によってターゲット会社の資産の含み益が実現し、日本の法人税が課される。その実効税率は40%強であって、世界水準で最高レベルである。買収者としては避けたいところだ。そこで、適格組織再編税制の要件を充たせないかという話になる。適格組織再編税制には3類型あるが、外国企業による日本の会社の買収という文脈で言えば、共同事業類型(法人税法12条の8 ハ)に該当するかが問題となる場面が通常だろう。

共同事業類型の要件を眺めると、三角合併において特に問題になるポイントがある。それは、合併当事者それぞれの事業が相互に関連すべしという要件だ。「事業関連性」である(法人税法施行令4条の2第4項1号)。何故それが三角合併においてポイントかというと、「事業関連性」はあくまで合併当事者について見られるところ、三角合併における合併当事者とは、買収者自身ではなくて、その日本子会社とターゲット会社であるからだ。つまり、三角合併を行う目的のためだけに、買収者が日本でペーパーカンパニーを設立して、それとターゲット会社との間で合併を行わせる場面は結構ありうると思うのだが、ペーパーカンパニーは事業を行っていないので、上記の「事業関連性」を充たせなさそうだ。つまり、適格組織再編税制の適用を受けられない。

ではどうするのか?具体的事案ごとに頭をひねるところだろうが、次回、もう少し、掘り下げてみよう。

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