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Out-In M&Aの税務(インバウンド)「逆三角合併」は現実的選択肢か!?(22)

「逆三角合併」って何?

日本の会社法上、三角合併が認められたのは、米国の実務の影響ともいえる。米国の実務では、三角合併といっても二つあって、それは?「正三角合併」と?「逆三角合併」だ。どちらも買収対価が買収ビークルの親会社の株式という点で共通であるものの、買収ビークルが合併の存続会社となるものが「正三角合併」であり、他方、対象会社が存続会社となって買収ビークルは消滅する場合を「逆三角合併」という。「逆三角合併」のメリットは、対象会社が存続するため、同社に関する許認可が維持される点である。

日本の会社法上、「逆三角合併」は可能か?

日本の会社法で三角合併は認められたものの、それは「正三角合併」を意味し、「逆三角合併」は正面から認められていない。しかし、やり方によっては、「逆三角合併」を行うのと同じ結果を作り出せる。それは、親会社株式を対価とする株式交換である「三角株式交換」を行った後、株式交換により完全子会社となった対象会社が、その完全親会社を吸収合併する方法である。そのような「三角株式交換+吸収合併(対象会社が存続会社)」という合わせ技により、「逆三角合併」を行ったのと同じ結果に至る。すなわち対象会社はそのまま存続し、その親会社が対象会社株式の100%を保有して、対象会社の旧株主はその親会社の株主として存在するという状況である。

税務の観点から、日本で「逆三角合併」を行うのは難しい!

「逆三角合併」は、上記のとおり会社法上できないこともないが、現実問題として税務の観点から難しい。何故なら、「三角株式交換」の段階で、株式交換に関する適格組織再編税制の適用を受けられないからである。同税制の要件のうち、「親会社による子会社株式の継続保有」という要件を充たせないことによる。もっと具体的に述べると、この要件には、株式交換後に適格合併が続いた場合について、納税者側に有利な例外規定があるものの、逆三角合併には適用されない建付けになっている。どのような建付けかというと、株式交換における完全親会社が適格合併による消滅した場合、同株式交換について適格組織再編税制の適用を受けるためには、合併の存続会社が完全子会社の株式を継続保有することが求められていることである(法令4条の2第16号、第17号参照)。この点、逆三角合併の場合、合併の存続会社に位置づけられるのは完全子会社自身だから、上記要件を充たせないという訳だ。そうすると、適格組織再編税制を受けられない結果、株式交換における完全子会社の資産の含み益が実現し、それに課税される。

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