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[M&A各論?] スクイーズアウトに対する株主の対応 (前編)(25)

例えば、自分が上場会社の株式を保有しているとする。ある日突然、その上場会社の意向で、その株式を強制的に取り上げられたらどうするか?それが「スクイーズアウト」という場面だ。少数株主の締め出しのことである。具体的には、その上場会社が他の会社の完全子会社になるという場面やMBOを行うという場面で、上場廃止後に「スクイーズアウト」がなされる。通常は、まず公開買付が開始されて、株主としては買付者に保有株式を売る機会を与えられる。公開買付の価格は、その時の株価にいくらかのプレミアムが載せられているのが一般的だが、あくまで買付者側が一方的に決めたもの。株主としては、その価格に不満なら公開買付に応じる義務はない。

「全部取得条項付株式」を用いた手法
では、公開買付に応じないと、その株主はどうなるか?いよいよ「スクイーズアウト」のプロセスに直面する。「スクイーズアウト」の具体的手法はいくつかあるものの、実務では「全部取得条項付株式」を用いたものが多い。その手法は、要は定款変更である。株主総会を開催し、定款変更を行うことで、全ての普通株式を「全部取得条項付株式」という特殊な株式に変えてしまう。その上で、同総会において、会社がその株式全部を株主から強制的に取得する決議を行う。その総会から大体、1ヶ月少し経過したころに当該取得が実行される。当該取得の対価は、一応、別の種類の株式なのだが、一般株主の手元には、1株未満の株式が割り当てあてられるように仕組まれているので、一般株主としては、結局、現金しか受け取れない。対価がいくらかという点については、通常は、上記の公開買付と同じ価格で計算される。公開買付価格に不満だから公開買付に応じなかったのに、その価格で強制的に追い出されるという状況だ。それに反対する株主はどうするのか?

スクイーズアウトに反対する株主はどうすればよいのか?
スクイーズアウトに反対する株主がとりうる行動として一般的なのは、株式買取請求権の行使である。正確にいうと、「全部取得条項付株式」を用いたスクイーズアウトには、二種類の手続が株主のために用意されている。一つは、定款変更決議に反対する株主が行使する「株式買取請求権」(会社法116条)と、もう一つは、全部取得条項付株式の取得決議に反対する株主が行使する「価格決定申立権」(会社法172条)である。株主としては、どちらを行使しても良いが、前者であれば裁判所に行かずに会社との合意で解決する余地が残されているのに対して、後者については最初から権利行使のために裁判所に行くことが必要である。また、後編で詳しく述べるように、個人株主にとっては後者のほうが税務メリットがあることから、後者を行使する傾向にあるといえそうだ。

次回の後編においては、スクイーズアウトのプロセスにおいて株主がとりうる行動ごとに、税務上の取り扱いをまとめる。

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