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[M&A各論?] スクイーズアウトに対する株主の対応 (後編)(26)

 上場会社がMBOや他社の完全子会社になることを決定した場合、当該上場会社の一般株主は「スクイーズアウト」されることになる。その手法としては、「全部取得条項付株式」を用いたものが一般的だ。その際、「スクイーズアウト」される一般株主がとりうる手段について、前回、紹介した。今回は、それぞれの手段ごとに税務上の取り扱いを整理する。

?「株式買取請求権」(会社法116条)の行使
 株主総会における定款変更決議に反対した株主に認められる権利である。税務上の取り扱いとしては、みなし配当課税と譲渡益課税の両方を考える必要がある。(法法24?四、所法25?四、法法61の2?、措法37の10?)

?「価格決定申立権」(会社法172条)の行使
 株主総会における全部取得条項付株式の取得決議に反対した株主に認められる権利である。税務上の取り扱いとしては、みなし配当課税はなく、譲渡益課税のみを考えればよい。(法令23?十、所令61?十、法法61の2?、措法37の10?)

?何もしない
 「全部取得条項付株式」の手法による「スクイーズアウト」に対して、一般株主が何の行動もとらないとどうなるか?それまで持っていた株式を失い、代わりに1株に満たない端数株を取得する。その端数株について会社法234条の手続により現金に換えることになる。通常は、裁判所の許可をとって対象会社か第三者がその端数株を買うという形をとることが多い。税務上の取扱いとしては、みなし配当課税はなく、譲渡益課税のみを考えればよい。(法令23?九、所令61?九、法法61の2?、措法37の10?)

株主のタックスプランニング
 上記から分かることは、一般株主にとって、?を選択すると他を選択する場合と異なり、みなし配当課税が問題になることである。みなし配当課税と聞くと、法人株主にとっては、むしろメリットがある。受取配当益金不算入だ。持株比率が25%以上であれば配当金全額が課税所得には算入されないし、持株比率が25%未満でも配当金の50%が算入されない。
 更に、譲渡益課税については、その法人株主が受け取った金額のうち上記配当部分を除いたところが譲渡対価として譲渡益が計算される。その譲渡対価が譲渡する株式の取得価格より小さいならば、法人株主において譲渡損を計上できるというタックスメリットまである。
 実際、法人株主が、このタックスメリットを狙って株式買取請求権を行使する例があると聞く。

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