税務会計における期末棚卸資産の評価(14回目)
税務会計における期末棚卸資産の評価は、基本的には企業会計のそれをベースにしている(法人税法22条3項、4項)。
すなわち、企業会計で採用されている一般的な評価基準(企業会計原則 注解21)である原価基準、低価基準の選択適用を認めるとともに、評価方法についても、企業会計で認められている方法のなかからどのような方法を選ぶかについては、基本的に納税者の裁量に委ねている(所得税法47条1項、同法施行令99条1項及び法人税法29条、同法施行令28条)。(注1)
(注1)ちなみに企業会計上認められている一般期末評価方法と税務会計に認められている一般的な評価方法は、次のようになっている。
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企業会計上の棚卸資産評価方法 |
税務会計上の棚卸資産評価方法 |
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①原価基準 |
①原価法(所得税法施行令99条1項1号及び法人税法施行令28条1項1号) |
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1.個別法 |
1. 同左 |
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2.先入先出法 |
2. 同左 |
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3.後入先出法 |
3. 同左 |
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4.平均原価法 |
4.総平均法 |
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イ.単純平均法 |
5.移動平均法 |
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ロ.総平均法 |
6.単純平均法 |
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ハ.移動平均法 |
7.売価還元法 |
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5.修正売価法 |
8.最終仕入原価法 |
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6.売価還元原価法 |
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7.最終取得原価法 |
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8.基準棚卸法 |
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②低価基準 |
②低価法(所得税法施行令99条1項2号及び法人税法施行令28条1項) |
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1.切放し低価法 |
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2.洗い替え法 |
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さらに、それ以外の特別評価方法についても、税務署長の承認を受けることを条件にこれを認めることとしている(所得税法施行令99条の2第1項及び法人税法施行令28条の4第1項)。(注2)
(注2)しかし、だからといって納税者が勝手に自分で自由にどんな方法を選んでも良いというわけではなく、一定の制限が付されている。
すなわち、税務署長はその評価方法によっては法人の所得の計算が適正に行われ難いと認められるときは、その申請を却下するとともに、承認後においても、それらの評価方法による計算が不適当と認められる事態が生じた場合には、その承認を取り消すことができることとしている(所得税法施行令99条の2第2項~第4項、法人税法施行令28条の4第2項~第4項)。
しかし、どのような評価方法によったにせよ、ひんぱんに評価方法を変えた場合、会計事実は同一であるにもかかわらず、結果的に法人の利益額及び法人税の課税標準たる所得の金額にも影響してくる。
そこで、いったん選定した棚卸資産の評価方法を変更しようとするときは、所轄税務署長に届け出てその承認を受けなければならないこととする(所得税法100条、101条及び法人税法30条1項)とともに、納税者が評価方法を選定しなかった場合には、法定評価方法として最終仕入原価法を採用したものとされる(所得税法102条1項及び法人税法施行令31条1項)。
(企業会計における期末棚卸資産の評価方法の変更と税務会計へのインパクト)
このように、税務会計における期末棚卸資産の評価が企業会計のそれをベースにしている。そこで、企業会計上棚卸資産の評価方法について変更があった場合、税務会計上にも直ちにそれが反映されることになるのか否かという点が問題となってくる。
ちなみに、企業会計では、平成18年に出された企業会計基準第9号「棚卸資産の評価に関する会計基準」により、それまで認められていた「後入先出法」が認められないこととなった。(注3)
(注3)実際にこれが適用されるのは、平成22年4月1日以降開始事業年度から。
これを受けて、税務会計でも、平成21年の税制改正で、それまで納税者が選定できることとされていた8つの方法のうち、後入先出法及び単純平均法については所用の経過措置を講じた上で除外されることとなった。(所得税法施行令99条及び法人税法施行令28条)





