一般に公正妥当と認められる会計処理の基準(6回目)
この規定は、昭和42年(1967年)、法人税法の簡素化の一環として設けられた。
その意味するところは、法人所得の計算を行うに当たっては、原則として企業利益の算定の技術である「企業会計」に準拠して行うべしということである。
「一般に公正妥当と認められる会計処理の基準」の前提となる「一般に公正妥当と認められる」なるものがどのような内容のものを意味するのかについては、これを「企業会計原則(Generally Accepted Accounting Principles)」と同様に解すべしとの見解もないわけではないが、一般的には両者は必ずしも同一のものとは考えられていない。例えば、東京地裁、昭和52年12月26日判決、判例時報909号110頁、大阪高裁、平成3年12月19日判決、行裁例集42巻11・12号、1894頁。
ちなみに、そこでは次のような判示がなされている。
「(法人税法22条4項の『一般に公正妥当と認められる会計基準』とは)客観的な規範性をもつ公正妥当と認められる会計処理の基準という意味であり、企業会計原則もその基準の一つの源泉となるものであるが、一般に公正妥当と認められる会計処理の基準は、企業会計原則だけを意味するものではなく、他の会計慣行をも含み、他方、企業会計原則であっても解釈上採用しえないものもある。」(下線部分筆者強調)
例えば、一般社会通念に照らして公正で妥当であると評価される会計処理の基準や客観的な規範性をもつ公正妥当な会計処理の基準等もそれに含まれる。例えば、最高裁・平成5年11月25日判決民集47巻9号5278頁。
ちなみに、この事例では、船荷証券が発行されている輸出取引について、同証券発行時ではなく、船積時点が収益発生の処理として公正妥当な処理だとされている。
もちろん、この概念の中心をなすのが、「企業会計原則」(昭和24年(1959年)7月9日制定)であり、会社法等で規定された計算規定であることは事実である。
しかし、実際には、それに止まらず、確立された会計慣行等を広く含んだ概念とされている。例えば、高松高裁・平成7年4月25日判決、税務日報42巻2号370頁。
ちなみに、この事例では、納税者が一時払いの介護保険料を支払時の損金としていたのに対し、かかる費用は長期前払費用であり一時の経費として処理する慣行はないとした課税者の主張が認められている。





