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米国における移転価格税制及びその執行について(14)?記事に対する質問あり

  今回は最適方法ルール(1.482-1(c))について説明させていただきます。

  日本では、移転価格算定方法にはその適用に優先順位がつけられています。基本三法(独立価格比準法(CUP法)、再販売価格基準法(RP法)、原価基準法(CP法))は、これらに準ずる方法及びその他政令で定める方法(利益分割法(PS法)、取引単位営業利益法(TNMM))に優先して適用されます。 したがって、基本三法を適用できないことが立証されない限りその他の方法の使用はできなくなっています。 

  一方、米国では、従来、わが国と同様に基本三法が優先適用されると規定されていましたが、1994年に、最適方法(Best Method)ルールを適用すると改正されました。このルールは、全ての移転価格算定方法を同等に扱い、最も適した方法を選定すべきであるとの考え方に基づいて、次のように規定しています。
「関連者間取引の独立企業間実績値は、事実と状況の下で独立企業間実績値の最も信頼性の高い尺度を提供する方法により決定されなくてはならない。したがって、方法には厳密な優先順位はなく、また、いずれの方法についても、他の方法よりも信頼性があると一律に考えることはしない。 独立企業間実績値は、他の方法の適用が不可能であることを立証せずとも、いずれの方法に基づいても決定することができる。しかし、別の方法がより信頼性の高い尺度であることが立証された場合には、当該他の方法が用いられなくてはならない」(1.482-1(c)(1))
どの方法が最も信頼性の高い尺度を提供するかを決定に当たっては「関連者間取引と非関連者間取引との比較可能性の程度、及び分析に使用されるデータ及び推定の質」が考慮されなくてはならないとされています(1.482-1(c),(2))。

  最適方法ルールを具体的にどのように適用するのかについて財務省規則1.482-8の説例(RP法に対するCPMがの優先)をひとつご紹介します。例えば、比較対象会社について、売上原価と値引き、保険、保証費用及び販管費等の重要な営業費用項目について詳細な情報が入手できない場合、これらの費用項目が原価として扱われているのか、営業費用として扱われているかによって、売上総利益率は大きな影響を受けるがこれらの会計処理の差異について信頼性のある調整を行うことができない。しかし、これらの費用を控除した後の営業利益で見る場合はる会計処理の差異は調整されることとなる。このような場合は売上総利益率を使用するRP法より営業利益率を使用するCPM法がより信頼できる方法ということになります。

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