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米国における移転価格税制及びその執行について(13)

? 今回から数回にわたって、米国の移転価格税制及びその執行についてお話させていただきます。今回は、当税制の根拠規定を説明します。

? 米国の移転価格税制は、米国内国歳入法第482条及び同条関連の財務省規則、移転価格に関するペナルティは内国歳入法第6662条から6664条及び同条関連の財務省規則に規定されています。 

? 第482条は、?二以上の組織等が、同一の利害関係者によって直接または間接に所有され又は支配されている場合には、課税当局は所得を正確に算定するために必要と認めるときは、所得等を調整することができる。?無形資産の供与に係る所得金額はその無形資産に帰すべき所得の金額に見合ったものででなければならない(所得相応性基準)、と規定しています。同条は、関連者間取引を「独立企業間であればどのような条件等の下で取引が行われ、どれだけの利得を得たであろうか(独立企業原則)。」を基準にして、課税当局は調整することができるとの考え方に基づいています。この考え方は、OECDモデル条約第9条で採用されている考え方であり、わが国の移転価格税制も同様の考え方を採用しています。
? 特に、米国で特筆すべきものは、1986年に追加された「所得相応性基準」(commensurate with income)です。資産、特に収益性の高い無形資産は、多くの場合ユニークなもので、非関連者に実施権が提供されることはまれです。例えば多大な費用をかけて開発した最先端のハイブリッド車、或いは電気自動車の製造技術を非関連者に供与することは稀であり、その結果比較可能な取引を見出すことが非常に難しい状況にあります。したがって、従来の独立企業間取引に依存した規定では指針を示していないとして導入されたものです。無形資産より発生する所得に着目することから、取引の対価は定期的に見直して調整することとなります。無形資産取引については、各国とも近年厳しい目を向けていますが、米国の当規定が発端となったといえると思います。
  第482条の具体的な運用基準として財務省規則が規定されています。また、課税当局の調整額が当初申告と比較して高額な場合には、調整金額の20%あるいは40%というペナルティが課されます。

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