千倉書房 連載ブログ

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第四回 本当にもったいないこと

一見不要に思える財政支出を称して「もったいない」といわれることがあるが、その財政支出を削減し、その結果として民間の雇用が失われ、既存の設備が遊休状態になれば、一国全体としてみれば、「分業・交換が縮小している」ことに他ならず、この状況こそ「本当にもったいない」のである。
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例えば、お金がないときにタクシーを使うことは「もったいない」ことかもしれないが、経済全体で見れば、そのタクシーが遊休状態になることの方が「本当にもったいない」のである。タクシーを使うことが「もったいない」のは、「タクシーを使わなければその資源が他のもっと重要なことに転用できる」場合の話であって、そうでなければタクシーを使わないことは「本当にもったいない」ことになりかねない。
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もちろん、タクシーが超過供給状態であれば、それは競争・淘汰というプロセスを通じて是正されなければならないが、供給量が適正水準であるにもかかわらず、「もったいない」という理由で誰もタクシーを使わなければ、つまるところ、分業+交換、すなわち経済活動など何もおこらないということになる。一国経済全体が「金がないから遊びに行くのはやめとこう」という状況にならないようにするのが政策の役割である。
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財政支出が一定の役割を担ってきたこの20年が決して「失われた20年」でないことは、この20年の間にどれほど生活の利便性が向上したかを考えれば明らかである。インターネット・スマホ・テレビ・車など様々な面で生活水準は著しく改善され、GDPこそ横ばいかもしれないが、ユニクロに代表されるように、高品質のモノが比較的安価で手に入るようになり、金銭的に単純に換算できない消費量は、20年前とは比べ物にならないはずだ。財政支出がなければ、「本当に失われた20年」になっていたかもしれない。

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