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第十回目 日本の富裕層に対する増税(その5)

今回は、「給与所得控除」について検討いたします。2012年度の税制改正で「給与所得控除」の額に限度が設けられました。従来は「給与所得控除」の額に限度はありませんでしたが、限度の取扱いは、2013年から適用され給与収入が1,500万円を超える場合、給与所得控除の上限は245万円になります。

課税所得は、給与収入から上記算式で算定された「給与所得控除」の額と基礎控除などの所得控除(控除金額は定額)を差し引いて計算します。私の給与が1,500万円とした場合、給与所得控除の額は、245万円になります。この金額が給与から差し引くことが出来ます。
1,500万円×0.05+170万円=245万円

私の給与が5,000万円とした場合、給与所得控除の額は、算式によると420万円になりますが、給与所得控除の上限が245万円になりますので、差額175万円は控除することが出来ません。つまり、その金額だけ課税所得が増えることを意味しています。245万円の限度の設定は、当に富裕層に対する増税です。

その影響は、所得税の最高税率を45%に上げる増税よりはるかに大きいです。最高税率45%の影響をうける納税者は、1万4千人あまりと本当に少数ですが、「給与所得控除」の限度の制限を受ける納税者は、80万人あまりと予想され比較になりません。これは真の富裕層に対する増税です。「給与所得控除」という非常に税務特有な取扱いゆえ、多くの人々の関心を引かないまま富裕層に対する増税が実施されたと考えます。伝えるべき報道をしないで大衆を誤解させるような枝葉末節の報道を続けるマスコミの弊害がこんなところにも現れている気がします。

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