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第十四回目 富裕層の増税 番外編(その4)最終回

個人が所有する国債について?

家計金融資産の数値は、日本銀行が四半期毎に発表する「資金循環勘定」に記載されています。2012年9月末(速報)によれば、家計金融資産は1,510兆円です。
現金・預金 ???????? 840兆円
債券?     ???????? 33
投資信託?  ???????? 58
株式・出資金??????? ?87
保険・年金準備金?426
その他????????????????? 66????
合計?????????????? ?1,510兆円

上記の内、債券33兆円が主に個人が所有する国債です。それでは、巷間で言われている国債約1,000兆円は誰が所有しているのでしょうか?実は、国債のかなり部分は、個人が間接的に所有しているのです。そのカラクリを説明します。

個人は、銀行に840兆円の預金があります。また、保険会社に保険料を426兆円払い込んでいます。銀行は預かったおカネを運用に回します。運用とは企業への貸付、住宅ローンの貸付、そして、今は国債の買付を意味します。保険会社は預かった保険料を運用に回します。企業への貸付、国債の買付が保険会社の主たる運用になります。その結果、個人の預金と保険料は、運用において、かなりの部分が国債になっています。金融機関の資金循環勘定から推測すると家計金融資産1,510兆円の内、500兆円から550兆円は国債なのです。銀行は企業への貸付、住宅ローンの貸付が本来の業務のはずですが、銀行の総資産のわずか42%しか本来の業務に使われていません。国債の残高が銀行の総資産の30%近くあること自体が異常と考えます。

個人は500兆円から550兆円という多額の国債をかかえているのですから、財政危機になり国債の価格が下落した時、本来の貸付業務が半分以下であるという金融機関の歪んだ資産運用のマイナスの影響が国民生活に多大な影響を与えることは容易く推測できると思います。残りの国債の大部分は、日本企業、政府機関によって所有されています。

家計金融資産が1,510兆円あるから、未だ、国債を500兆円ぐらい容易に発行できるという議論がありますが、そう簡単ではないと思います。上述の如く現金・預金840兆円は銀行にあり、保険・年金準備金426兆円は保険会社等にあります。彼等が資産運用のポートフォリオを変更しない限り、国債の買い増しは出来ません。また、資産運用のポートフォリオを変更して国債を買い増しすれば、金融機関の歪んだ資産運用を更に悪化させることになると思います。

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