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第十六回 金融緩和

経済学では物価水準は貨幣とモノの相対的な流通量の水準によって決定されるのでマネーサプライを増やせばデフレから脱却することができると説明される。通貨当局はベースマネーの供給量を管理することはできるが、市中に出回るマネーサプライ自体を管理することはできない。マネーサプライとは、信用創造によって作り出されるもので、資金需要がなければいくらベースマネーを供給してもマネーサプライは増えない。

財政赤字の相手方としてつみあがった民間貯蓄は、金融機関に預けられ、金融機関はこれを国債で運用する。金融機関が貸し出しを行なわず国債を買うのには、民間資金需要が停滞していることに加えて、自己資本規制という背景もある。その他、超過マネーは投機に向けられ、相場の乱高下の原因になる。グローバルに投資されるホームレスマネーは約4000兆円といわれる。こうした資金は金融緩和の産物と見ることもできる。
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金融緩和が必ずしもデフレの解消に役立つとは限らないのは、デフレの原因が様々だからである。マネーサプライが十分でないことがデフレの原因であれば、金融緩和が効果的だろうが、過当競争による価格調整や需要不足による価格調整であれば、それは全体的な物価水準の下落ではなく、特定の分野の製品の相対価格の下落であり、金融緩和ではなく、過当競争業者に対する補助金を廃止するとか、新規産業に雇用を創出すべく就労支援をするなどの政策によって解決しなければならない。処方箋を誤って金融緩和が継続され、その結果として、余剰マネーが国債の購入に振り向けられれば、民間需要が喚起されてデフレが解消するという循環は起こらないし、余剰マネーが投機に振り向けられれば、相場の乱高下の原因になる。

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