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第十八回 税制にできること

本連載を通じて、国民経済は分業(生産)と交換(消費)を通じてその厚生水準を高めることが本旨であり、国民の厚生水準は「いくら稼いだか」ではなく「どれだけ消費できたか」によって測定すべきであり、国民の消費を最大化するためには分業・交換を誘発する触媒が必要であることを述べてきた。
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一般に税負担は効率的な市場をゆがめると理解されている。

税負担がなければ成立したであろう市場均衡よりも少ない取引数量で均衡することにより、社会的余剰が失われることがその理由とされる。その意味では、税負担により取引数量が減少しない場合には、社会的な負担を限定できることになる。
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その一方で、税には外部不経済の内部化や景気安定化などの機能があるといわれる。

環境税は前者の例であり、累進所得税は後者の例である。思考実験であるが、所得税率を100%にすれば(すなわち貯蓄に対して100%課税)、稼いだお金はすべて使ってしまうことが最も合理的な行動となるので、需要喚起に役立つ。

不動産に5%の課税をすれば、5%以下の運用では不動産を保有するインセンティブがなくなるので、運用できない人は不動産を手放すことが合理的な行動ということになり、不動産は低廉な価格で取引され、効率よく運用できる人の手に渡る。

預貯金残高に3%の課税をすれば、預貯金の実質金利水準(名目利子率+デフレ率)が3%を超えていなければ、預貯金を保有するインセンティブが低くなるので、この資金が株・債券などの投資に振り向けられたり、消費に使われたりするかもしれない。

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