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第十二回目 富裕層の増税 番外編(その2)

家計金融資産が1,510兆円について

前回の記事で取り上げた「1,000兆円以上の金融資産は、少数の大金持ちが持っているのですか?」の質問に対する回答は、別の資料を分析することで可能となります。総務省が実施している「家計調査報告」が有用な資料と考えます。

「家計調査報告」について述べます。直近の国勢調査(2010年)では2人以上の世帯は3,506万世帯でした。家計調査報告は、この世帯数を利用しております。3,506万世帯を母集団として統計的方法によりサンプル世帯を抽出します。そして、それら世帯に作成を依頼した家計簿の収入・支出の情報を集計した数値を加工して、3,506万世帯の金融資産の残高を推定しています。そこで集計された金額から全体を推定すると、日銀の「資金循環勘定」に計上されている現金・預金840兆円に近い数値になります。調査方法から考えるとその結果は概ね妥当と思います。「家計調査報告」の結果で興味ある内容があります。
??2人以上の世帯の半数の貯蓄額は、991万円を下回っていること
??2人以上の世帯の内約3分の2の世帯は、全体の貯蓄額の平均値(1,664万円)を下まわること
??世帯主が60歳以上の世帯では、貯蓄額が2,500万円以上の世帯が3分の1を占めること
??4,000万円以上の貯蓄を保有する世帯は、全体の約10%で貯蓄全体の4割を占めること

「家計調査報告」の調査結果が「100億円以上の貯蓄を保有する世帯は、全体の約0.1%で貯蓄全体の6割をしめる」となっていないことは、重要です。「家計調査報告」は、少数の大金持ちが富の大部分を保有していることを否定しています。むしろ、示唆していることは、世帯主が60歳以上の世帯の多くは、2,000万円以上の貯蓄があり、その結果、2人以上の世帯の貯蓄額の70%近くは、その世帯の貯蓄であるということです。

日本の家計金融資産は、少数の金持ちに保有されるのでなく、団塊の世代からそれ以上の年代の手許にあることを「家計調査報告」の調査結果は示していると考えます。

富の世代間不均衡を是正する時期にきているようです。

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