千倉書房 連載ブログ

千倉書房 連載用ブログ


第十三回目 富裕層の増税 番外編(その3)

老人単独世帯数の著しい増加現象について

直近の国勢調査(2010年)によると単独世帯数は1,678万世帯です。この単独世帯の数は、この25年間に約890万所帯も増えています。人口減少社会での単独世帯数の著しい増加現象は、老人単独世帯数が増加している社会現象の現れではないかと思います。老人単独世帯数の著しい増加は、金持ち老人単独世帯の増加と貧乏老人単独世帯数の増加という悩ましい社会現象をもたらします。

富裕層の増税の番外編として、ここでは資産家老人単独世帯の問題点を取り上げたいと思います。

次の例は、案外有りうるのではないかと考えます。ご主人あるいは両親から受け継いだ遺産がある後期高齢者のご婦人が「自分はひとり住まいで、身寄りもないので自分が亡くなったら、遺産を全て、東日本大震災の遺児の生活を助けるべく活動しているNPO法人に寄付したい」という希望を持っているケースです。

しかし、この希望を叶えることが案外難しいのです。日本人は、一般的に遺言書を作成することに強い拒否反応を示します。自分の気持ちを身近にいる人に伝える傾向があります。そこで、介護に来てくれる人に口頭で「自分が亡くなったら、遺産全て○○NPO法人に寄付して欲しい」と何回も伝えることで安心します。しかし、彼女が旅立った時、その資産は当該NPO法人に行かないのです。その理由は、相続財産の取扱いです。身寄りのない人が死んだ場合、相続財産は特別縁故者に与えられ、特別縁故者も居ない場合は国庫に帰属することになります。特別縁故者とは、被相続人と?生計を同じくしていた者、?被相続人の療養看護に努めた者、?その他被相続人と特別の縁故があった者を言います。内縁の妻や夫、事実上の養子がその例です。残念ながらお金が絡むと、人は豹変します。その方は特別縁故者と名乗り出る可能性が大です。

上記例でのご婦人の希望を叶えるためには、遺言書が必要です。しかし、生きている時に死んだことの手配をすることに強い拒否反応を示す多くの日本人に遺言書を書かすことは至難の業です。残念ながら、身寄りのない老人の遺産は、時として心無い特別縁故者にいくか、財政赤字の日本政府にいくかです。

遺言書は、お金持ちが作成する必要なもので、普通の人が作るものではないと考えている人が多いと思いますが、それは大きな誤解です。葬儀の方法や埋葬地、墓地の管理・供養などは、旅立つ者にとって大事なことです。そのような気持ちを書いておくことは、お金以上の価値があります。貧富に関係なく誰でも自分が残したいものがあるはずです。それを元気な時に遺言として残して欲しいです。

コメントをどうぞ

コメントを投稿するにはログインしてください。