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第十七回 今までの要約

本連載では以下のことを述べてきた。
1.?国民経済の厚生水準は、「いくら稼いだか」ではなく「どれだけ消費したか」で測定すべき
2.?企業部門・政府部門の債務は生産・消費を惹起するための触媒であり、債務を削減することが優先されることで、生産・消費が縮小されるようなことがあれば、一国経済としては本末転倒
3.?「もったいない」という理由で歳出削減をした結果、有休資源が増えるようでは、「本当にもったいない」ことになる
4.?今の財政赤字は政府部門が、企業部門のバランスシート調整のための債務削減を肩代わりしてきた結果積み上がったもの
5.?民間部門の貯蓄はこの財政赤字と対外債権残高250兆円からなっており、財政赤字が直ちに国家財政の危機というわけではない
6.?250兆円の対外債権超過ということは、250兆円生産より消費が少ないということ、その結果が円高であり、円高是正には、国内での消費を喚起すべき
7.?世代間格差の問題も、財源の問題ではなく消費の問題として整理すべき、仮に社会保障のために現役世代の消費が犠牲になるとすれば、それは少子高齢化という事実に由来するもので、政策によって是正できるものではない、国債の発行や年金給付の問題は世代間格差の問題ではない
8.?間接税の転嫁は税負担故に取引量が減少するということがなければ、経済に負担は生じない、直接税は株主が負担していると考えることに合理性がある、特に法人税は資本市場における競争力の問題、経済取引に中立的な税制が望ましい
9.?外国人にどれほどの負担を転嫁すべきかという議論こそ国民的議論とすべき、日本企業の国際競争力を維持するために、国、延いては国民が、どれほどの程度の支援をすべきかということを検討する際には、企業が国を選ぶ時代だということを念頭に置かなければならない、国際立地競争力を高めることが、国の消費の最大化に資する
10.?デフレの原因は様々であり、金融緩和のみで対応できる問題ではない、金融緩和に起因する超過マネーはマーケットの乱高下の原因になりかねない

本連載では、これらの認識を前提として、経済厚生を高めるための租税政策について検討する。その方向性の概要は以下のとおり。
1.?国際立地競争を考えると、現状の法人税率、所得税率はすでに世界最高水準であり、これ以上の引き上げはすべきではない
2.?税率10%を超える消費税の引き上げはやめたほうがいい
3.?消費税、所得税、法人税ともに、事業者と給与所得者の間の不公平を改善せずに更なる増税はすべきでない
4.?民間の貯蓄が財政赤字の結果だとすれば、そこに税源を求めることも考えられる、貯蓄に対して課税をすれば、需要喚起にもなる

次回以降の連載で各税目について詳細に検討していくこととする。

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