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第六回 会社制度のもう一つの役割

一般に株式会社制度は株主責任を有限とすることで、個人では調達することが難しい大資本を調達するしくみであると説明される。
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本連載において、経済全体の債権債務の純額はゼロであり、それ自体に価値はないが、債権債務関係は、経済取引を惹起するための媒介としての重要な役割を果たしていることを述べた。経済学にいうところの信用創造である。信用創造という点で、会社制度は重要な役割を果たしている。
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会社を設立することで、架空の法的主体が創造される。その法的主体が債務者になることで、他の法的主体が債権者になれる。会社が銀行から借入をすれば、そこで債権債務関係が創造される。このときの債務者は会社であるが、会社が株主の持ち物だとみれば、債務者は株主ということになる。但し、株主は有限責任であるから、債務者という意識はない。そうでなければ、国民の誰も彼もが貯蓄などできるはずがないのである。こうして、信用創造を容易にするところに会社制度の役割がある。

バブル崩壊後の日本企業は超過債務といわれ、バランスシートの調整が行われてきた。会社は利益を債務の返済に充当してきた。この債務の返済によって、経済活動の触媒は奪われていき、それを補ったのが政府の債務、すなわち国債だった。有限責任会社の触媒機能が働いていれば、国債の残高はここまで膨らまなかったはずである。

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