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第五回目 米国の富裕層に対する増税(その3)

富裕層のみ増税させる案

今回の大統領選挙で中間所得層の取り込みが勝敗を分けたことから、あらゆる所得階層が増税の対象になる形でのブッシュ減税を失効させることは出来ません。そこで生まれてきた施策が富裕層のみ増税させる案です(表の赤字の所得層)。共和党は、富裕層のみ増税の案に反対しています。つまり、ブッシュ減税を失効させない案(現状の所得税の体系を維持)を支持しています。民主党を民主党(連合がスポンサー)、共和党を自民党(経団連がスポンサー)と読み替えると判り易いと思います。上院は民主党が過半数を押さえていますが、下院は共和党が過半数を押さえるというねじれ現象が起こっています。ですから、富裕層のみ増税の案が議会を通るか否かは余談を許さない状態です。

財政赤字解消のためには、富裕層のみ増税で充分と多くの人は考えていると思います。現時点では、富裕層のみ増税の額がいくらになるか詳らかにされていませんが、ブッシュ減税の失効による実質増税の額2,200億ドル規模(約17.6兆円)とは比較にならないくらい少ない金額になると推測します。税収の観点からはあらゆる所得階層に対する増税が最も効果的です(第四回参照)。「富裕層のみ増税」は、実の伴わない政治的プロパガンダの色彩が強いです。

財政再建のための選択肢は、増税・歳出削減か、経済の成長か、のいずれかです。しかし、増税・歳出削減と成長は相いれないものです。増税すれば消費が減り、消費が減れば、景気が悪くなるという図式が成り立ちます。財政と成長の両立は非常に難しい道です。

日本でも、財政再建のための選択肢として富裕層のみ増税の案を2013年度税制改正に盛り込む方向で検討されていると聞いています。次回は日本の富裕層のみ増税を議論したいです。

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