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第二十回 諸刃の刃

平成21年度の税制改正で外国子会社配当益金不算入制度が導入された。

当時の経済産業省の調査では、日本企業の外国子会社が日本の親会社に配当せずに現地に留保している利益剰余金が20兆円を超えており、これが日本に還流しない理由として、当時の税制を主な理由として挙げられていた。当時の税制は、親会社が受取配当を益金に算入し、その上で外国法人税を税額控除するという制度であり、どの国の投資から生じる利益であっても、最終的には我が国の実効税率に税負担が収斂するという考え方がとられていた。
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この制度においては、日本に配当を支払わなければ日本で追加課税されることはないので、企業グループには海外に利益を留保するインセンティブが生じ、この海外の留保利益を国内に還流し、もって経済を活性化させる手段として、外国子会社配当益金不算入制度が導入された。この制度が導入されてから、実際に多くの会社が我が国に利益を還流させており、当初の目的は達成されたのかもしれないが、この制度はより本質的な問題を惹起することになる。
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日本の法人実効税率は約40%、アジア諸国は20%、欧州諸国は25%程度といわれている。

従来の制度の下では、どの国に投資をしても最終的には我が国の実効税率に相当する税負担をしなければならなかったが、新しい制度の下では、法人税率の低い国により多くの所得を配分することによって、グループの税負担率を低くすることができる。所得のグループ内配分には、より多くの機能を果たしたところにより多くの所得を配分すべきという移転価格税制のルールがある。すなわち、グループの税負担を低くしようとすれば、より多くの機能を海外に移転すべき、海外でより多くの雇用をすべきということになるわけである。経済活性化を標榜して導入した制度であるが、我が国の雇用を海外に流出させかねない諸刃の刃でもある。

我が国からの雇用の流出を防ぐためにも法人税率は、国際競争力のある水準に設定すべきである。現状の先進諸国の水準を鑑みれば、20%程度の水準が妥当な水準ではないだろうか。

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