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第二十四回 貯蓄税 その1

法人税・消費税・所得税について、前回まで述べてきたような制約があるとすれば、財政再建のためにはどのような租税政策があるだろうか?

所得税に対して課税することと、貯蓄に対して課税をすることは、納税者の通期の可処分所得において違いはない。例えば、100の所得に対して40の所得税が課されれば、可処分所得は60である。一方、100の所得に対して20の所得税が課され、80の貯蓄に対して20の貯蓄税が課されれば、可処分所得は同じく60である。しかし、80の所得を全部使ってしまえば、20の貯蓄税はかからないので、前者に比べて税負担は20少なくなる。この20は消費されているので、誰か他の人の所得になっており、結果的には市場を通じて所得が再分配されていると考えることができる。これに対して、前者の場合には、20の税が社会保障給付などを通じて所得の低い人に再分配されることになるが、こちらの再分配は市場を通じて行われるわけではないので、給付の効率性が担保されない。この点において、貯蓄税の方が所得税に比べて望ましい。また、80の消費をする納税者は消費のベネフィットを得ているので、その点も貯蓄税の方が望ましい。

財政赤字の反対側には民間の貯蓄があり、その貯蓄に対して課税をすることで、これから日本に参入する外国人に対して過度の税負担をしいることも回避できる。財政赤字の結果が民間の貯蓄であれば、応益負担かつ応能負担と考えることもできる。例えば、所得税率が50%だった場合、新しく日本に入ってくる外国人が受ける公共サービスにはそれだけの価値はあるのだろうか?もしこの50%の中に国債返済の原資が含まれていれば、この外国人は国が借金をした時には日本にいなかったにもかかわらず、従って、国の借金の恩恵を受けていないにもかかわらず、借金の返済を負担させられていることになる。これに対して、貯蓄に対して課税する場合には、財政赤字が生じたのは過去に税負担が過小だった、その結果として、民間部門に貯蓄が生じた、と考えれば、貯蓄税による追加負担に一定の合理性があるのではないだろうか。

外国人に財政赤字を負担させようとしたために、外国人が日本への参入をしなくなってしまっては、本末転倒である。

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