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第二十六回 グランドデザイン

消費税が引き上げられることで、店をたたまなければならないという話を耳にする。それは消費税の増税分を価格に転嫁できないからということだろう。仮に価格に転嫁して取引がなくなってしまうのであれば、それは社会的余剰の損失であるが、その分を別の業者が奪うのであれば、社会的には余剰の損失は生じない。むしろ、過当競争状態が改善され、デフレ解消の一助にもなる。店をたたまなければならない業者がどうすれば店をたたまなくてすむようになるかという政策、例えば消費税の逆進性対策とか複数税率、或いは消費税の価格転嫁に関する規制などの政策、ではなく、淘汰された業者が、どうすればより発展性のある事業に就けるかという労働市場改革こそフォーカスしなければならない政策である。

日本経済が活力を取り戻すためには、国際立地競争力を強化が不可欠である。国際立地競争力には、日本に雇用を創出すること、日本に資金を惹きつけることの両方の側面がある。前者は日本でより付加価値の高い機能を果たしてもらうために、所得税・法人税・消費税などの過度の税負担を企業に強いないことが重要であり、後者は日本の資本市場に投資をしやすい環境を整備すること、例えば、外国投資ファンドにPE課税をしないことを明確に表明する、法人税率を国際標準まで引き下げることなどが重要である。

企業が国に奉仕をするのではなく、企業が国を選ぶ時代であり、国に企業を惹きつける魅力がなければ、一国経済は先細りである。最終的に税負担をしなければならないのは、国から脱出出来ない国民である。そのことを念頭に置き、租税政策のグランドデザインをする必要がある。

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