千倉書房 連載ブログ

千倉書房 連載用ブログ


第二十二回 国際立地競争力と所得税

法人税率は国際的に競争力のある水準でなければならない。消費税は10%程度が妥当な水準である述べた。もう一つの基幹税である所得税はどうだろうか?

世代内格差に対処しなければならないことを鑑みれば、累進性の高い所得税率構造にすることに一定の意義はあるかもしれないが、むしろ所得を稼ぐ段階でインセンティブを奪うよりは、稼いだ所得を使ってもらうようにする税制の方が、所得の再分配が市場の自助によっている点で望ましいのではないだろうか。

また、日本が国際立地競争力を持つためには、日系企業、外資系企業を問わず、付加価値の高い活動を日本で行うインセンティブを企業に与える必要がある。製造業でいえば、研究開発拠点、資産運用業でいえば、ファンドマネージャーのような高級取りに日本にきてもらう必要がある。一般に外資系企業の場合には、日本に派遣した社員の日本における追加税負担は会社で負担するので、日本の所得税率が高いことは、企業にとってのコストになる。

日本に高付加価値の機能がくれば、裾野産業に対する経済効果も大きい。例えば、ファンドマネージャーが日本にくれば、ファンド運営のための法律・会計・税務などの仕事が日本で行われるので、法律事務所、会計事務所の仕事も増える。また、高級取りが日本にくれば、日本の不動産マーケットや消費全般も活性化する。所得税が高いことが原因で日本に高付加価値機能を配置することを控えるという企業行動があるとすれば、所得税率を引き下げることで、経済効果を期待することができるということになる。いずれにしてもこれ以上の所得税の引き上げは控えるべきである。

コメントをどうぞ

コメントを投稿するにはログインしてください。