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第二十一回 電子商取引と消費税

海外の電子商取引業者が日本の消費者にデジタル財を販売した場合には、我が国で消費税を課税することは難しい。仮に消費税法を改正して、外国事業者に税を課したとしても徴税できなければ、意味がない。

このことは、その分税収が少なくなるというだけの問題ではなく、消費税を納税する国内業者との間に不公平を作ることになるというより本質的な問題がある。消費税率が10%であれば、外国業者の方が常に10%分だけ価格競争上有利ということになる。

法人税・所得税では、外国に子会社を設立して租税回避する場合には、タックスヘイブン税制によって、所得が親会社で捕捉される。消費税の場合にも、国内業者の租税回避を防止する目的であれば、同じように日本の親会社に課税するという方策も考えられるが、外国業者には適用できない。法人税・所得税の場合と異なり、取引価格に影響を与える点が問題である。

今後電子商取引が益々拡大することを考えると、この問題が解決しない限り、10%を超えた税率の引き上げをすべきではない。また、10%を超えた税率にする場合には、複数税率の導入などの逆進性対策、インボイス方式の導入など、検討しなければならない問題も多くあり、制度が著しく複雑になる可能性が高い。何より10%を超えた税率は、余剰の損失をもたらす可能性が高い。税率が10%ならば、消費税がかかるから買うのをやめた、ということにはならないが、税率が20%になれば、消費税がかかるから買うのを控えよう、或いは、もう少し安いものにしようということになる可能性が高い。費用対効果を考えても10%程度に据え置くことが得策と思われる。

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