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税金のペナルティーおよび還付を点検(6)

? わが国では主な国税について、納税者が自らの課税標準、税額を計算して申告・納税を行う申告納税制度がとられている。申告がない場合か、税務行政当局の調査の結果、申告が不相当と認められる場合に限り、当局の「更正」または「決定」で税額が確定される。

 更正とは申告があった場合に、決定とは無申告の場合に、当局が課税標準または税額を修正するものだ。修正の結果、税の納付遅延などが明らかとなった納税者には、本税に加え付帯税が課せられる。

 付帯税のうち、延滞税(税金を正当な納期限までに納付しなかった場合)と利子税(延納の許可を受けている場合、その延長期間にかかる利息に相当)は遅延利息的なものであるが、加算税は延滞税・利子税に加えて課され、行政制裁的な色彩を持つ。加算税には、過少申告加算税、無申告加算税、不納付加算税、重加算税がある。

 延滞税及び利子税は、未納税額に対して年率(平成1911日以後)4.4%で算定される。過少申告加算税は期限内の申告があった場合、無申告加算税は期限後申告または無申告の場合に課され、それぞれ未納税額の1015%。不納付加算税は源泉徴収による税が納付遅延の場合に課され未納税額の10%である。

 重加算税は事実隠ぺいや仮装があったときに過少申告加算税や無申告加算税に代えて課せられるが、未納税額の35%(無申告の場合40%)と非常に重い。ただ、この事実隠ぺいなどの定義や重加算税の賦課を決定した理由の納税者への開示義務については国税通則法などに法律上の規定がない。税務行政における公正の確保と透明性の向上のためにはこれらも当然、法律で定められるべきであろう。

 ところで税務行政当局の更正の期間は税額を増やす場合は原則として法定申告期限から3年(法人税の場合は5年)以内、減らす場合は5年以内とされている。納税者が税金の支払の不足に気付いた場合、修正申告すべき期間は法定申告期限から3年(法人税の場合は5年)以内とされている。しかし、税金の過大納付に気づいた場合、税金の還付を求める手段は、修正申告ではなく更正の請求となる。更正の請求をした場合、自動的に税金が還付されることは殆んどない。通常、税務調査が行われ、その結果(税額を増やす修正が加えられ、当初の還付税額が減額される)を待って初めて税金が還付される。そして還付できる期間は原則として法定申告期限から1年以内に限られる。1年を超えた場合、制度として納税者が還付請求する術がない。実務的には、税務署長に納税者が嘆願書を提出し、税務署長による「職権による更正」を依頼することで、法定申告期限から1年超5年以内の期間の税金の還付は可能である。しかし、「職権による更正」を実施するか否かは、当局の裁量にあることが問題である。

上記より税の徴収・還付に対する税務行政当局の権限と、それらに対する納税者の権利の間には格段の差があることは明らかである。納税者の権利を保護するには、税の徴収・還付に関して税務行政当局と納税者の間で彼我の差を無くすことが大事である。

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