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税理士の役割を点検(11)

 税理士とは税理士法で認められた税務の専門家である。納税義務を適正に実現し納税に関する道義を高める職責を負うとともに、納税者の権利を擁護する立場にある。

 国税や地方税の税務代理、税務書類の作成、税務相談・会計業務などを納税者の求めに応じて行い、複雑な税法の解釈・適用を補助または代行する役割を担っている。更に複数の税理士による税理士法人の設立が認められ、専門分野に特化した複数の税理士が協力して納税者の複雑な税務相談に応じられるようになった。

 また、税理士が計算事項などを記載した書面が税務申告書に添付されている場合、税務調査の前に意見を述べる機会が与えられた(書面添付制度)。さらに、税務訴訟において租税に関する事項につき補佐人として弁護士(訴訟代理人)とともに出頭し、陳述することができる(出廷陳述権)。これにより税理士は納税者の税務署や国税不服審判所への不服申し立てのみならず、裁判所における税務訴訟にも関与が認められている。

 ところで、これまでの税務訴訟における納税者側の一部勝訴・全部勝訴の割合は合計しても20%未満と極めて低い。その原因としては裁判官を納得させる相当の理由(事実の認定・適用税法)が納税者側に不足していること、弁護士が税理士を補佐人として申請しても、裁判所が弁護士に税理士資格があることを理由に却下する傾向があったことなどがあげられる。

 今後は納税者の個別事情を理解し、税法に精通した税理士が出廷して陳述することで裁判官を十分に説得し訴訟の段階での納税者の救済割合を向上することが期待される。ただし、税理士には証人尋問権が与えられていないと解される。また、弁護士のような訴訟代理人ではないため、単独で出廷する権利はない。税務訴訟は、納税者の権利救済のための最後の手段だ。税理士が納税者の信頼に応えるべく、民事訴訟法の知識および訴訟技術の習得に努め、税務の専門家として貢献することが課題である。

 最後に会計参与について触れてみたい。会計参与制度は、「会社法」(平成17年7月26日に公布)において創設された制度である。同制度は、職業会計人としての税理士が悲願とした会計監査への関与の道を開いた制度である。会計参与は主として中小企業の計算関係書類の記載の正確さに対する信頼を高めるため、会計に関する専門的識見を有する者が、取締役と共同して計算関係書類を作成し、当該計算関係書類を会社とは別に備置き・開示する職務等を担うものである。会計に関する専門的識見を有する者は、公認会計士(監査法人を含む)又は税理士(税理士法人を含む)に限定される。多くの税理士は会計監査の実務経験がないため、会計参与の業務の内容と負うべき責任を十分理解していない傾向がある。それ故、何もしないで会計参与としての報酬を受けている事例が散見される。会計監査をしない会計参与を続ける限り、税理士は公認会計士に比較して劣る職業会計人と看做されるであろう。税理士が計算関係書類の読者である投資家の信頼に応えるべく、会計の知識および監査手法の習得に努めることが急務である。

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