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税務調査を点検(5)

? 税務行政当局の使命は「納税者の自発的な納税義務の履行を適正かつ円滑に実現する」ことである。そのために資料収集制度が設けられ、納税者は源泉徴収票や報酬、料金、利子配当などの支払い調書の提出が義務付けられる。

当局はこれらの法定資料と税務申告書を突き合わせ、申告漏れの有無を把握する。そのほか申告書の財務分析、取引先への反面調査などと併せて、当局が納税者のところで帳簿や現況を確認する必要があると判断した場合は税務調査が行われる。税務調査において当局には納税者に対して質問し、または帳簿書類などを検査する質問検査権が与えられている。

申告納税制度の下では納税者の自発性が尊重されるべきだ。したがって、調査における当局の質問検査権の行使には適正な手続きが要求されるが、税務行政の手続きを定めた国税通則法や各税法にはそれらの手続きに関する明文規定がない。例えば当局が質問内容、税務調査の日時、場所、理由などを納税者に事前に通知する義務は課されておらず、無予告の税務調査が行われることが少なくない。

通常の税務調査は、悪質な脱税の摘発のための「査察調査」とは異なる。手続きを法律上明文化して納税者の権利を保護する必要があろう。

税務調査の結果、修正すべき事項がある場合は当局による「更正」またはその計算を基礎とした納税者による「修正申告」の提出が行われる。更正を行うには根拠資料を確実に収集し、厳格な理由を付記することが求められる。このため当局は修正申告を慫慂(しょうよう=暗に求めるの意)することが少なくない。

ただ、更正の場合は後日、不服申し立てや税務訴訟などの納税者救済措置を利用できるのに対して、修正申告書を提出した場合は原則として利用できないことに注意する必要がある

納税者は修正申告に応じる義務はない。当局の指摘事項に合理性がなく、質的・金額的に重要であれば、申告内容の正当性を公の場で主張するためにあえて修正申告に応じないことも選択肢の一つである。

000-M247
070-350

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