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税務行政の公平性を点検(2)

わが国では所得税について自ら所得額と納税額を計算して申告・納税する「申告納税制度」がとられている。ただし、給与所得者(会社員)の場合、年収2千万円以下であれば源泉徴収と年末調整で申告・納税は完結する。

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この源泉徴収と年末調整の制度には納税者が煩雑な納税手続きから解放されると同時に税務行政当局の事務負担を軽減するメリットがある。一方で給与所得は正確に捕捉されるのに対し、自己申告の対象となる事業所得などには租税回避や脱税が伴う場合があり、所得の捕捉率は業種によって大きな差がある。

クロヨン(九・六・四)という言葉があるが、これは給与所得の捕捉率が九割なのに対し事業所得者、農業所得者はそれぞれ六割、四割だとする給与所得者の不公平感から生まれたものである。実際、国税庁によれば、2005事務年度(20057月?20066月)に行われた個人申告所得に係る税務調査の結果、追徴税額は1,144億円(加算税などを除く本税ベース)にものぼる。これに対して、給与所得者は、所得がガラス張りであるため、払うべき税金が未納になっていることは考えられない。所得が適正に捕捉されていない状況は、由々しき問題を生む。「正直者がバカをみる」という意識を国民の過半数を占める給与所得者が持つことである。所得が適正に捕捉されるよう税務行政が改革される必要がある。

源泉徴収の対象とならない所得の捕捉対策としては、税務行政当局による正しい自己申告の指導、悪質な脱税者への税務調査の強化があげられる。また、所得の正確な把握のために有効な手段である納税者番号制度の導入を検討すべきである。しかし、行き過ぎたプライバシー保護が納税者番号制度の導入を妨げている。行き過ぎたプライバシー保護がもたらす弊害は計り知れない。

ところで、給与所得者には概算経費として給与収入から一定割合を控除できる給与所得控除の制度が設けられている。これについて給与所得控除額が実際の経費を上回るケースがほとんどなので、減額すべしという意見がある。ただ、給与所得控除額には所得捕捉率の格差を是正する役割があるという考え方もある。クロヨン問題の解決なしにこれを減額することになれば、給与所得者の不公平感は増長されるばかりであろう。

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