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移転価格税制(5)

〔RP法/CP法:同種又は類似の棚卸資産等取引の売上総利益率を比較〕
 RP法は、輸入者側の販売価格に対する売上総利益の割合が、特殊の関係のない当事者が同種又は類似の商品等を売買する取引におけるそれと同じくなるような取引価格を独立企業間価格とするものである。取引の対象はCUP法の「同種」から「同種又は類似」に緩和されているが、果たす機能(例えば、マーケティング機能、アフターサービス機能)、負担するリスク(貸倒損失リスク、商品評価損等の在庫リスク等)に差異がある場合にはその調整が必要とされる。

 先ず、手法の構造について検討する。例えば、米国親会社Pから日本子会社Sが製品Aを90円で輸入している場合には、その移転価格の適否が問題となる。S社はこれを顧客に120円で販売している一方、類似する製品Bを非関連者から180円で輸入しこれを顧客に300円で販売している。両取引においてS社の果たすマーケティング等の機能は同等であるとする。B製品についてのS社の売上高売上総利益率は40%((300-180)÷300)である。この利益率を製品Aの取引について適用すると、S社は48円(120×0.4)の利益を得る必要があり、P社、S社間の取引の独立企業間価格は72円(120-48)と算定される。その結果S社の所得金額は18円(90-72)上方修正されることとなる。

 このように、RP法は輸入者側で適用される手法である。これに対してCP法は輸出者側で適用される手法であり、上の図の商流を逆流させて同様に考えればよい。CP法では、RP法とは異なり、売上ではなく売上原価に対する売上総利益の率が用いられる。

 次にリスクの問題を考えてみよう。RP法及びCP法においても、CUP法と同じく、リスク負担者の認定が困難であるという問題が存在する。加えて、RP法及びCP法では次のような問題も指摘できる。

 上の事例で、S社はA製品でもB製品でも同じ程度の在庫リスクを負担することとなっていたとする。しかし、リスクは顕在化させないことが大事である。そこで、在庫リスクを顕在化させないための対処として、B製品では販促費を投じて在庫を減らし(販売費は増えるが、売上総利益率は変化しない)、A製品では値引き販売で在庫を減らした(販売費は一定であるが売上総利益率は下がる)とする。そのような対応に伴う損益も在庫リスクの結果損益を構成するが、以上のような対応の違いによりその売上総利益への影響は必ず異なるはずである。また、仮にA製品でもB製品でも値引きにより対応したとしても、両製品における結果損益(売上総利益への影響)は決して同一にはならないのである。それにも関わらずRP法を適用してB製品の利益率をA製品に適用するということは、本来、利益の付け替えをしないでよいS社にP社は利益の付け替えをする(つまり、S社が負担したはずの在庫リスクの帳尻をP社に帰属させる)こととなる。RP法、CP法ではリスク負担者を認定出来たとしても、そのリスクの結果損益が売上総利益に反映する場合には、本例の如く、リスク負担者にそのリスクの帳尻を帰属させることができないのである。

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