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移転価格税制(4)

CUP法:同種の棚卸資産等の対価を比較〕

?? CUP法は、特殊の関係のない当事者が同種の商品等を同様の条件下で売買した対価を直接参照し、これを独立企業間価格とするものである。平易な表現をするならば、「他人との間の価格と同じ価格で取引しなさい」というような手法だといえる。

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 例えば日本の親会社が米国子会社に製品を単価100ドルで輸出しており、非関連の販売会社に対しても同様の条件下で同種の製品を単価120ドルで輸出している場合に、非関連者に対する単価120ドルを独立企業間価格とする手法である。この事例の場合には、日本親会社は米国子会社に対して安売りしていることとなり、所得が過少となっているので、米国子会社向け製品輸出1個につき、$20$120-$100)だけ上方修正されることとなる。

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取引対象の商品等や取引条件に差異がある場合でも、その差異の調整が出来る場合には適用可能とされる。この手法は、理念としての独立企業原則に最も忠実な手法といえるかもしれない。

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 しかし、価格を直接比較できるような非関連者間取引を把握するのは困難であることから、CUP法の適用可能性は広くなく、市場取引のあるものや、上図のように、法人自身が非関連者とも同種の棚卸資産の取引をしている場合等にその使用が限定されることが多い。

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 第二回で触れたリスクの問題はCUP法の適用上どのように影響するだろうか。取引価格に影響を及ぼすリスクの負担関係の例としては、在庫リスクが挙げられる。

通常は取引後の在庫リスクは輸入者が引き受けるが、?受注してから輸出者に発注、?商品は輸出者から顧客へ直送する取引形態の場合には、輸出者側に在庫リスクがあり、リスク負担の対価が取引対価に上乗せされ、価格が高くなることが予想される。このように、非関連者間においては在庫リスクを負担した側に有利になるように価格が設定される。だから、CUP法の適用においても在庫リスクを考慮すべきこととなるのである。

しかし、関連者間においては、実際のリスク負担者を認定するのは容易ではない。それは、親子間であれば、引き受けた子会社も親会社が不良在庫を持たないよう販促活動や値引き等を行うであろうからである。そうすると、在庫リスクの帳尻(損失)の一部を子会社も受けていることになる。適正な所得計算のためにリスク負担者が誰かという分析が必要とされるのであるが、実際のリスク負担者は、(契約だけではなく)取引当事者の費用負担状況等(所得)を分析してみないと分からないのである。

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