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移転価格税制(7)

〔PS法:合算営業利益を寄与度合いにより按分〕
 PS法は、関連者双方の合算所得(通常は営業利益)を、それぞれの所得発生に寄与した程度に応じて分割して算定される所得となるような取引価格を移転価格とする手法である。所得発生への寄与の指標としては、支出した費用の額や使用した固定資産の価額などが挙げられている。


 例えば上の図のような取引が関連会社間で行われている場合にはA、B社間を通じて15(130-100-10-5)の合算営業利益が稼得されている。販管費がそれぞれの寄与を示しているとすると、A社の寄与割合は1/3=5÷(5+10)となり、A社の所得が5となるような取引価格110(原価100+販管費5+利益5)が独立企業間価格であることとなる(B社について計算しても同じ結果が得られる)。

 合算営業利益にはA、Bそれぞれが負担したリスクの殆どの結果損益(帳尻)が含まれているので、その合算利益の1/3をA社に帰属させると、A、B両社が負担した殆どのリスクの帳尻の1/3をA社に帰属させることとなる。つまり、PS法を適用すると、A社が特定のリスクを負担したという前提を置いたとしても、A社が負担した特定のリスクの帳尻をA社だけに与えるということは、やはりできないのである。むしろ、PS法の適用により、合算利益と同時に両社のリスクを(本例においては1:2に)比例的に配分しているといえる。

 PS法の利点は、TNMMと同じく課税所得に近い利益を確定させることができる点にある。両手法はいずれも営業利益に着目することから「利益法」と呼ばれるが、法律上の適用順位が基本三法に劣後しているにも関わらず、税務実務において基本三法よりも遙かに高い割合で利用されているという事実がある。

 PS法の問題点として、利益分割指標の問題(利益分割指標としては、支出した費用の額、使用した固定資産の価額その他所得の発生に寄与した程度を推測するに足りる要因を用いることとされているが、費用又は資産の何れを用いるかにより結果が大幅に異なる可能性があり、費用の場合にはその負担者を変更することによってやはり結果が大幅に異なる可能性があるといった問題等)が指摘されている。しかし、実はこの問題はPS法に特有の問題ではなく、CUP法を除く手法(RP法、CP法、TNMM)全てに共通する問題であることが見逃されている。次回この点について議論する。

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