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移転価格税制(1)

移転価格(Transfer Price)とは、関連企業間で棚卸資産等が移転(transfer)される場合における取引価格を意味する。例えば日本の親会社Pが製品を海外の子会社Sに輸出している場合の製品価格がこれに当たる。この場合移転価格を高くすると親会社Pの課税所得は増加するが、反対に子会社Sの課税所得は減少することとなる。


各国の法人税率は同じではないから、企業グループには関連企業間の移転価格を通じて所得を低税率国に移動することにより、グループ全体の納税額を減少させる誘因が働く。このような移転価格の操作を規制しようとする制度が移転価格課税制度である 。

移転価格課税は一般的には法人所得に対する課税(法人税)における一部の特殊分野と認識されているようであるが、その位置付けは税収所得概念という二つの意味で、今後の法人所得課税の存続を左右する程の非常に重要な問題と認識しなければならない。

例えば、まず税収の面では、国税庁の平成19事務年度の事績報告を分析すると、わが国の全法人数約300万社の法人のうちの大規模法人上位約1.1%(34,400社)の法人が法人全体の申告所得(552,871億円)の約70%の所得を申告していることが分かる。これら大規模法人のほとんどが海外の子会社等関連者との間で巨額の取引を行っていることからすると、いかに移転価格課税が税収面において重要性を有するかが容易に想定できる。
また、移転価格課税は所得概念に関わる問題でもある。現行の移転価格制度は関連者間における取引だけを重視する傾向があるが、課税所得は取引価格のみならず費用負担によっても影響を受ける 。費用を負担するということはリスクを負担することに繋がる 。このことから派生する所得概念の問題に関しては、次回、具体例をあげて説明する。

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