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移転価格税制について ?納税者の視点から(10)

??? 本シリーズでは前回まで、藤澤先生が、豊富な御経験と知見にもとづいて、移転価格税制の原則から応用まで解説されました。私はここで少し視点を変え、納税者の視点からみた移転価格税制の問題点とその解決のヒントを、特に移転価格の本来の原則から考えて思いつくところをいくつか述べてみたいと思います。限られた枚数のなか、時に脱線してしまうこともあるかと思いますが、しばらくお付き合い願います。

??? さて、まずは下の表を見てください。これは国税庁が発表したデータをKPMG税理士法人で表としたものです。

??? 課税事案の件数は長らく増加傾向にあり、現在も特段減少していく気配はありません。課税所得金額そのものは、大型事案の数等によって上下はあり、昨年度のように極めて少なかった年もありますが、100億を越えるような大型事案をのぞけば、一件当たり10?15億前後、といったところでしょうか。

(画像をクリックするっとpdfファイルが開きます)

??? この平均でさえ他の法人税と比べれば巨額なものであり、移転価格課税が国際税務の世界で近年注目を集めてきたのも不思議はありませんが、移転価格事案にはある共通点が見受けられるような気がします。納税者によるリリースの内容からも読み取れることが多いのですが、ほとんどの納税者が、いわゆる“ホンネ“のところで課税根拠や課税所得金額に納得していないのではないでしょうか。

??? 根拠も算定方法も曖昧で、結局は、「恣意的」な裁定で課税が行われたのだ、従って将来についての「予測可能性」も確保されていないのだ、と思っておられる納税者が多いようです。どんな課税でも納税者が満足しているわけでは勿論ありませんが、移転価格課税に関しては、他とは異なり、単なる法文解釈の相違や見解の相違にとどまらず、ビジネス自体を理解しようともしてくれずに課税の決定だけなされ、結局何が悪かったのか、どこを直せばいいのかについて明確な見通しがたたないまま終わってしまった、と感じておられる納税者も多いはずです。

??? これから、その原因について、いくつか思いつくことを述べてみたいと思います。先にお断りしておきますが、私はもちろん、特定の法律や執行体制の不備などをあげつらうつもりは全くなく、むしろ、納税者も含めた現在の移転価格税制をとりまく基本的な問題点からいくつかあげてみるつもりです。

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