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日本の移転価格文書化について(22)

移転価格文書化について(その3)

  前回は明文化された租税特別措置法施行規則第22条の10に掲げる文書化の項目を提示しましたが、今回はそれらの項目が具体的にどのような内容の資料を意味しているのかを説明させていただきます。
??? 1 まず、「国外関連取引の内容を記載した書類」に掲げられている項目(同条1項1号)について説明します。
??? 私どもが文書化に係る作業を行う場合、「移転価格分析レポート」作成します。「移転価格分析レポート」において、移転価格分析の基盤となるのが1号に規定されている項目に関して必要な情報をまとめた部分であり、私どもの間では「機能分析レポート」と称しています。当該レポートには、通常、各事業部の方々等にインタビューを行い関連者間取引の商流図を作成し、それらの関連者間取引において親会社が果たしている機能(例えば日本のメーカであれば研究開発、製造といった機能)の詳細を記述します。この際にどのような無形資産(例えば技術に係る特許、ノウハウ等)が使用されているかも記述し、技術並びにブランド使用料に関するロイヤリティー契約等が子会社と締結されている場合はそのコピーを添付資料として付けます。また役務提供取引についても同様に内容の詳細を記述し、契約書等のコピーを添付します。
??? さらにどのようなリスク(市場の変動に伴うマーケット・リスク、研究開発への投資に伴うリスク、設備への投資及び使用に伴う損失のリスク、為替相場や金利の変動などに伴う金融上のリスク及び信用リスク等)を負担しているかを明確にします。
??? 子会社側での機能及びリスク負担についても同様の分析を行います。この機能、リスクを親子間でどのように役割分担しているかの分析に基づき、移転価格算定方法の決定、比較対象会社の選定、比較対象会社との機能等の差異の識別と差異の調整等を行いますので、非常に重要な部分になります。

??? 2 次の項目である、「独立企業間価格を算定するための書類」に掲げられている項目(同条1項2号)につい説明します。「移転価格分析レポート」において、最終目的である独立企業間価格算定を決定するのが2号に規定されている項目に関して必要な情報の収集・分析を行った部分であり、私どもの間では、「経済分析レポート」と称しています。当該レポートには、どのような理由により検証対象会社を決定し、移転価格算定方法を選定したか、また、その算定方法を適用する際に必要となる、比較対象取引(会社)をどの様に選定したか等を記載します。
??? 利益分割法の場合は合算利益を算出するために日本の親会社の切出損益(対象となる海外関連子会社との取引で得た利益)を算出する必要もでてきます。通常、経済分析における比較対象会社の選定はデーターベースを使用して、一定の基準を用いてスクリーニング(比較対象会社の選定と排除)を行い、選定された比較対象会社と検証対象会社との間に識別される資産集約度等の差異の調整を行い、統計学に基づいた独立企業間価格幅(レンジ)を算出します。検証対象会社の利益率等の実績が当該独立企業間価格幅に入っているか否か決定する重要な分析であることからプロフェッショナルファームに依頼されているのが通常です。

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