千倉書房 連載ブログ

千倉書房 連載用ブログ


平成21年度税制改正の衝撃 — 海外子会社配当の益金不算入(14)

海外子会社から受け取る配当に日本の法人税が課されなくなった。具体的に言うと、海外子会社からの配当のうち95%が日本の親会社の益金には算入されない。ここでいう子会社とは、その会社の発行済み株式または議決権株式の25%以上を日本の親会社により6か月以上保有されている場合をいう。この「25%以上」という基準は租税条約によりもっと緩められる場合がある。例えば、日米租税条約だと「10%以上」である。この税制が導入された目的は、海外子会社による利益配当を促進するためと言われる。海外子会社に利益を溜めて日本に還流させない日本法人が多かった状況を問題視したものだ。

海外からの配当は本当に促進されるのか?
その税制改正によって配当促進という所期の目的は達成できるのか?そういう疑問が巷ではあるようだ。何故なら、海外展開において海外の利益を日本に配当しない戦略をとる日本企業にとっては、この税制が導入された後でもなお、配当しないで海外子会社に利益を留保するメリットが消えないからだ。その一つは、配当すれば外国で源泉徴収税が課される場合があること。二つ目は、今回の税制改正で配当の95%は益金に算入しなくてよくなったものの、残りの5%には日本の法人税が課されること。特に前者、外国の源泉徴収税については、今回の税制改正で外国税額控除の対象から外され、損金算入もできなくなったので、日本企業にとってはかえって悩ましくなったところがある。これらを考えると、今まで海外から配当しない戦略をとってきた日本企業の中には、「従来どおり配当しないのが一番オイシイ」との判断に達する企業もありそうだ。

新税制の本当の影響力
むしろ、この税制改正が大きな影響を及ぼすと思われるのは、海外展開として従来から日本に配当する戦略をとってきた日本企業ではないだろうか。そのような日本企業にとって、今までは、どの国に海外子会社を置こうがあまり関係なかった。その国の税率がどうであれ、日本に配当として持ってくれば、結局、日本で約40%もの高い法人税率に服するからである。外国の税率がいくらかというのは外国税額控除の額に影響するだけで、納税者の最終的な税負担には変わりなかったのである。しかし、今回の税制改正でその点が変わる。海外子会社からの配当には日本での課税がなくなったので、当該子会社が所在する外国の税率が低いほど、納税者の最終的な税負担も低くなる。つまり、海外展開において配当する戦略をとる日本企業にとって、どこの国に子会社を置くか、その国の税制はどうなってるかという検討を含め、タックスプランニングを行うことの重要性が増したといえる。プランニングの巧拙が日本企業ごとの税引後利益の違いに大きく影響しうる。

コメントをどうぞ

コメントを投稿するにはログインしてください。