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増税すると景気が上向く?!( 4 )

  1980年代初頭、アイルランドでも大幅な財政赤字が計上され、その時の施策はデンマークと同様なものでした。しかし、アイルランドでは上手くいきませんでした。アイルランドで上手くいかなかった原因について、流動性制約に直面する家計が多かったことが挙げられています。流動性制約に直面する家計とは、その日暮らしに明け暮れている家計のことです。国民の多くがその日暮らしの生活を強いられていると現在の消費を控える余裕が生じないため財政支出の削減は、有効需要の減少に直接結びつくと考えられます。流動性制約があると「増税すると景気が上向く」になりません。日本では流動性制約に直面する家計が多いか検討してみます。

  貯蓄を保有していない世帯を、流動性制約に直面する家計と捉えれば、その割合は22.1%(金融広報中央委員会「家計の金融行動に関する世論調査」(2008年))に達します。一方、過去1年のうちに借入を拒絶されたり、断念したことがある家計を流動性制約家計とすると、その割合は2007年度調査で3.4%(家計経済研究所「消費生活に関するパネル調査」では)でありました。さらに、同様の定義(ただし過去3年間の借入れ拒絶経験を質問している)で見ると、9.4%の世帯となりました。以上の調査結果から全家計の10%から20%は、流動性制約に直面する家計が日本にはあると考えられます。これら家計が「増税すると景気が上向く」の制約条件となります。その制約条件を取り除かないと「増税すると景気が上向く」にはなりません。流動性制約に直面する家計救う施策が必要となります。鳩山政権の給付付き税額控除等の施策は、その観点から的を得た施策と解します。給付付き税額控除とは、ある一定以下の所得水準の家庭には生活保護を給付する。そして、その家庭の所得が上がっても、一定の所得水準に達するまで(税額控除の方法で)減税措置が受けられるようする制度です。(続く)

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