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国際化対応を点検(8)

 経済の国際化や電子商取引の発展により、より多くの資金が国境を越えて移動するようになった。税務行政当局はこれに対応するための執行体制を敷いている。国税庁は外国税務当局との情報交換などを担当する国際業務課、相互協議を担当する相互協議室、海外取引調査や移転価格調査などを担当する国際調査管理官を設置している。国税局にも国際調査課、国際情報課などが設けられている。

国際化に対応してわが国の課税権を確保するためには外国の税務行政当局との連携が必要となる。そのため最近、税制、租税条約(国際的な二重課税を防止するため二国間で結ぶ条約)の改正・改定により外国当局との情報交換の規定の整備が進んでいる。国税局などの税務職員がわが国の課税上必要がなくても、外国からの要請があれば税務調査をすることができるようになった。例えば、日米租税条約では情報交換のための調査権限を創設し、一方の締結国当局から特に要請があった場合、他方の締結国当局は情報の提供を行うことになった。この情報交換規定は、条約が改定されるごとに設けられている。それぞれの条約上の情報交換規定の内容はOECDモデル租税条約26条とほぼ同じ内容である。そこで、モデル条約26条第1項をここに引用する。

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モデル条約26? 両締約国の権限のある当局は、この条約及びこの条約が適用される租税に関する両締約国の国内法令(当該国内法令に基づく課税がこの条約の規定に反しない場合に限る。)の規定を実施又は執行するために関連すると予見できる情報を交換する。情報の交換は、第1(人的範囲)及び第2(対象税目)の規定によって制限されない。

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これらにより外国(租税条約相手国)当局に日本企業の現地子会社・支店、ジョイントベンチャーの税務調査を依頼できるようになった。さらに日本で事業を行っている外資系企業に対する日本における調査に加えて、外国(租税条約相手国)当局に親会社、本店の調査を依頼することが確実に可能となった。わが国と外国の税務行政当局が情報交換により収集した情報に基づいて正しく取引を把握し、課税の公平性を保つための措置がとられることは納税者にとって歓迎すべきものだ。ただ、万が一にも当局が収集した情報を用いて課税権が乱用されることがないよう注視する必要もある。

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