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商法、会社法と税務会計(4回目)

 税務会計を考える場合、企業会計との関係は当然のことながら、商法、会社法との関係を抜きにすることはできない。

 商法は法人税(正しくは当時の第一種所得税)と同じく、明治32年(法律第48号)に出来た古い法律である。明治維新に伴い、西欧の近代的な会社組織や企業組織を導入する必要性が高まり、明治14年(1881年)4月、お雇い外国人のH・ロエスレル(Herman Roesler)に商法起草の依頼がなされた。

 この草案をもとに明治23年(1890年)にいわゆる旧商法が創設された。(注1)?

 しかし、そこで制定された内容がそれまでのわが国の慣行を全く無視したものであったことから激しい反対運動が起こり、所要の改正を経たうえで明治32年に新商法(平成17年会社法制定前の商法)として正式にスタートすることとなった。

 なお、この時の改正には、会社設立の許可制から準則主義への移行も含まれていた。その結果、近代的な企業形態である商事会社の設立が容易になり、法人税の根拠である会社制度の発展へとつながっていった。

 また、昭和25年(1950年)には、授権資本制度の導入、取締役会の権限強化と株主による帳簿閲覧請求権の制定など英米法的な色彩の濃い改正が行われた。

 さらに、平成17年(2005年)には会社法が独立して現在に至っている。

 ところで、商法では、商人は商業帳簿として会計帳簿及び貸借対照表の作成が義務付けられており、商業帳簿の作成に関する規定の解釈については、公正な会計慣行を斟酌することが要請されている(同法32条)。(注2)?

この規定は、所得税の納税義務者のうち商法上の商人として活動する事業所得者、不動産所得者などにとっては極めて重要な規定となっている。例えば、所得税法では所得を10種類に区分したうえで、それぞれについて所得金額の計算方法を規定している(所得税法23条?35条)が、事業所得や不動産所得は、収入金額から必要経費を控除するという形で所得金額の算定を行うこととしている。

したがって、この場合に作成する帳簿等は、公正妥当な会計慣行に従ったうえで作成することとなる。ちなみに、青色申告者に求められている要件もこれらを前提としたものである。

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(注1) 旧商法は、「通則」、「海商」、「破産」の三部構成で、起草者のロエスレルがドイツ人であったことから、ドイツ的色彩が強いものであった。ただし、破産法についてはフランスのそれをベースにしたといわれている。

(注2)なお、商人のうち会社関係については、会社法で同様の規定がなされている。(会社法431条、432条、615条ほか)。

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