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倒産会社のM&Aとタックスプラニング(2)

 企業の倒産が増えている。破産、民事再生、会社更生といった法的手続の利用は今後も増加傾向であろう。いずれの手続でも資産・事業の売却が必然的に起こるのでM&Aの機会も実は増える。買収側にとって倒産会社のM&Aのポイントは、株主主導ではなくて債権者が最終的決定権を持つという倒産手続の枠組みにどのように入り込むかという点だ。例えば、平常時の買収であれば、いずれの手法であれ対象企業の株主のマジョリティが納得しなければ基本的に成功しないのに対し、倒産手続に入った会社やその事業の買収の場合には債権者のコンセンサスがM&Aのプラニングに影響する。どのように影響するかはここでは述べず、以下は買収者としてのタックスの視点に絞る。

買収者の2つの視点

 買収者として二つの税務的視点がある。それは、?M&A取引そのものの税務コストをいかに最小化できるかという点と、?買収後、将来にわたって何らかのタックスメリットをとれないかという点だ。?では要するに売主のキャピタルゲイン課税、消費税、流通諸税(登録免許税、不動産取得税、自動車取得税、印紙税等)を考える。それは結局、ストラクチャーの議論に影響する。例えば、事業を移す場合でも、会社法上の「事業譲渡」か「会社分割」を使うかで、税務コストに大きな違いが生じる。他方、?の典型は、繰越欠損金や資産の含み損をどのように利用するかという課題。資産・事業が傷んでいる倒産会社では特に重要になる場合が多い。これもM&Aのストラクチャーとして何を採用するかによって結論が変わりうる。具体的には、繰越欠損金や資産の含み損について、「事業譲渡」では使えず、「会社分割」では使える余地があり、他方、「株式取得」では基本的に使えるが使えない場合もある、というように。以上の詳細は後の回で述べたい。

倒産企業側の課税を考慮する場面も・・・

 また、倒産企業と買収者とがあらかじめ倒産手続を手段としたM&Aを計画することもあり、その場合には倒産企業側の課税も買収者の考慮要素となりうる。具体的な問題は、債務免除益への課税の最小化だ。これを次回の話題とする。

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