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中国税制改正と不動産税制改革(5)~【完】

房産税の改正

  財政部は房産税制度の改革を2010年工作の重要課題としています。国家発展改革委員会は2010年経済体制改革の重点項目として「房産税改革の漸進的な推進」を提議しました。房産税改革は急激な改革ではなく、現実に即した漸進的な改革が求められています。
  2010年6月1日の新華網では次のように解説しています。房産税税制改革の核心的な目標は公平な市場競争であり、収入分配を調節することにある。社会科学院財政貿易所の副所長である高倍勇氏は、中国には財産税がない、房産税は貧富の格差を調節するよりよき手段であると述べています。
  財政部の財政科学研究所の副所長である白景明氏は、現在の市場は房産税改革の予測については主に房産税が投機を抑制して不動産価格の膨張を阻止することが強調されているが、房産税は住民の収入分配を調節し、地方税の体系を改善する機能も持っていると指摘しています。
  上述の新華網の記事によれば、現在、議論されている房産税改革の内容は、課税範囲の拡大、課税標準価格の変更、税率の変更と地方税収の税源確保の問題のようです。
  課税範囲の拡大については、現行の房産税の納税者は、都市、県の都市、建設制度の鎮と工業鉱業区内で房産権を所有する単位と個人であり、個人が所有する非営業用の房産は房産税が免税となっています。 
  房産税に、収入分配機能すなわち所得格差の是正機能を持たせることにより、個人が保有する住宅に房産税が課税される可能性がありますが、この改革は個人住宅の現状に関する更なる情報収集、住宅の評価、課税する要件等を時間をかけて十分に検討することが必要であり、前述した上海方案はこのような準備作業も不十分であったとされています。
  課税標準価格の変更については、現行の房産税は、房産が保有されている場合には房産の取得価額の70%?90%を課税対象金額としていますが、房産がリースされている場合にはリース料収入を課税対象金額としています。
  不動産価格が高騰している現状を反映して、将来の課税対象金額はこのような取得価額やリース料収入ではなく、不動産の時価評価額等とすることにより、貧富の格差を調節する機能を持たせるものとしています。房産の評価については技術的な問題もあることから、現在、中国では湖南、湖北の一部地域で房産税改革が実験されているようです。
  現行の房産税の税率は、取得原価ベースで課税する場合は1.2%であり、リース収入で課税する場合は12%とされていますが、課税標準価格が変更されることにより税率も当然、変更されることになります。なお、現行の房産税では個人等が住宅をリースする場合の税率は暫定的に4%とされていますが、課税範囲の拡大に伴ってこのような税率も見直しされることになります。
  最後に、房産税の税制改革は、多くの地方政府の財政難を反映して、高騰を続ける不動産価格によって地方政府の税収が拡大することが見込まれており、不動産価格の抑制と地方税収拡大の均衡をとることも考慮する必要があります。【完】

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