千倉書房 連載ブログ

千倉書房 連載用ブログ


中国の移転価格税制(17)

中国の移転価格税制(その1)

 中国の移転価格の歴史は1991年に始まりましたので今年でちょうど20年目になります。1991年に制定された当時の企業所得税法ではじめて移転価格の定義が行なわれ、移転価格税制として確立されたのは7年後の1998年です。2004年には事前確認制度が導入され、2007年には日中間で初めての合意が成立しました。2008年には企業所得税法が抜本改正されて、移転価格税制は包括的な租税回避対策税制の中に位置づけされました。

 移転価格税制の執行状況については、1998年に日本の国税庁にあたる国家税務総局に移転価格の専門部署が設置され、地方の税務局に専門担当官が設置されました。2002年には沿海地域の中小規模の外資系企業に対して重点的に移転価格調査が実施されています。当時の調査対象には外資系の中小企業が多く含まれていました。2003年には、外資系の多国籍会社と中国内資の企業集団会社が重点調査の対象となり、企業グループの中国各地の重要拠点が一斉に共同調査されています。

 当時の移転価格の重点調査対象企業の選定基準には、2年連続欠損の企業、薄利または軽微な欠損でありながら企業規模を持続的に拡大している企業、企業所得税の減免税期間が終了した直後に利益率が急落した企業、タックスヘイブンの関連企業と取引を行なっている企業、税務局の管轄区域内の同業種の利益水準より利益率の低い企業等が掲げられています。

 当時の国税当局の認識では、外資系企業の過半数が欠損企業であり、その相当数の企業が逆粉飾を行なっており、虚偽の欠損を計上して実際には黒字企業が多いというものでした。その主な租税回避方法としては、高進低出、資本弱化、優遇税制、タックスヘイブン、流通税を利用する方法が利用されているとしています。

 高進低出とは、中国語で「進」とは輸入であり「出」とは輸出のことですから、高い価格で外国から原材料、部品、設備を輸入して、低い価格で加工製品を輸出して利益を国外に移転していることをいいます。このように原材料、部品、設備を高い価格で設定して、輸出製品を低い価格で設定する高進低出は、当時の移転価格事例の租税回避金額の6割に達するといわれていました。

 次に、資本弱化とは過小資本のことであり、国外関連企業から高利息の借入を受けて、利子負担を増加させる租税回避行為であり典型的な移転価格事例ともなっています。中国では、外資系企業に対しては資本金規制があり過小資本にはなりにくい状況がありますので、資本弱化の問題は主に中国内資の企業集団で発生していました。2008年の企業所得税法の改正時に移転価格税制の整備とともに過少資本税制も導入されています。

payday loans

コメントは受け付けていません。