一般に公正妥当と認められる会計処理と税務上の処理~消費税処理との関係(7回目)
??法人税の課税所得の計算上、消費税に係る会計処理については、売上げに係る消費税を預り金として処理するやり方と税込みで処理するやり方の2つが認められている。
企業会計上は、いずれの処理方法も一般に公正妥当と認められる会計処理の基準として認められている。
しかし、税務上においては、例えば売上げに係る消費税について預り金(税抜き方式)として処理しておきながら、仕入に係る消費税について税込みとするような行為は、法人の所得金額の益金(企業会計でいういわゆる収益)若しくは損金(企業会計でいういわゆる費用)の内容又はその対応関係に混乱が生じ、ひいては適正な課税処理金額の算出をなし得ないおそれが生じることになる。このことから、税務上においては、原則としていずれかの会計処理の方法に統一すべきであり、その混用処理は認められないこととなる。(注)
(注)静岡地裁・平成7年10月13日判決、平成4年(行ウ)9号、行裁例集46巻10、11号903頁、税務月報43巻1号296頁。
同様に、収益と経費に係る消費税を税込処理しておきながら、固定資産の取得に係る消費税を税抜きで経理し、全体で税抜処理方式により経理するようなやり方についても(たとえそれが企業会計上認められていたとしても)税務上は認められていない。(注)
(注)東京高裁、平成8年10月30日判決、平成7年(行コ)142号、行裁例集47巻10号1030号。
<例>
具体的イメージ(売上=税抜処理、仕入=税込処理)
(現金)100 (売上)100
(預り消費税)5
(仕入) 84 (現金)84
この場合における算出当期所得(販管費10、消費税0.5と仮定)
100?(84+10.5)=5.5
いずれか一方の方式(税込み方式又は税抜き方式)に統一した場合
税込方式 105?(84+10.5)=10.5
税抜方式 100?(80+10)=10
他に預り消費税 仮払消費税
5 ? 4.5 =0.5