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クロスボーダーM&A— 「タックス・ヘイブン対策税制」の知識は不可欠!(13)

日本企業による海外M&Aにおいて、「タックス・ヘイブン対策税制」の知識は欠かせない。「外国子会社合算税制」ともいう。要は、外国の子会社の所得なのに、日本の親会社の所得として合算されてしまうという税制だ。海外展開する日本企業の中には、日本の高税率な法人税を避けるために、海外の利益を日本に持ってこないで外国の子会社に留保するという会社も相当数存在する。連結会計上の利益は上げたいが日本における税務上の所得にはしたくないのだ。そんな会社は、この税制に高い関心を示す。

「タックス・ヘイブン対策税制」の回避?— 実効税率25%超の外国
どうすれば「タックス・ヘイブン対策税制」に抵触しないのか?その回答の一つは、税率の低すぎる国の子会社に利益をためないことである。低すぎる税率とは、具体的にはどれくらいを言うのか?それは25%である。簡単に言えば、実効税率が25%超の外国に子会社を設置し、そこに利益を留保すれば日本の課税は及ばない。

「タックス・ヘイブン対策税制」の回避?— 「適用除外」の検討
もっとも、実効税率が25%を下回ってしまう国は結構多い。ケイマン、バージン諸島、香港等、いかにもタックスヘイブンという地域に限らず、欧州にあるような国でも、日本の「タックス・ヘイブン対策税制」の対象になりうる。そのような国に子会社を置く日本企業としてはどうするのか?それは、「適用除外」に該当しないか検討することである。すなわち、実効税率が25%を下回る国に子会社があっても、それは実際にその国で事業を行うためということであれば、それは「適用除外」として例外的に「タックスヘイブン対策税制」が適用されないというものである。具体的には4つの要件をおさえることになる(?事業基準、?実体基準、?管理支配基準、?非関連者基準or所在地国基準)。

平成21年度税制改正の衝撃
平成21年度税制改正のうち国際租税分野といえば、「海外子会社配当益金不算入制度」の導入である。関連して「タックス・ヘイブン対策税制」にも改正がなされた。その一つが、同税制により日本の親会社の所得として合算される外国の子会社の利益から、親会社に配当した分を控除できなくなった点である。この結果、何が起こるかというと、従来は、外国の子会社に利益を留保する日本企業のみが同税制に関心があったところだが、今後は、海外の利益を日本に配当する戦略をとっている日本企業も関係してくるということだ。かつて「ウチの会社は海外の利益を配当して日本に持ってくるから、タックス・ヘイブン対策税制はあまり関係ないんですよ」と述べる企業人に会ったことがある。しかし、そうも言えなくなるということだ。海外子会社から日本の親会社に配当する戦略をとる日本企業にとっても、「タックス・ヘイブン対策税制」の検討が重要となる。

次回は、平成21年度税制改正の目玉、「海外子会社配当益金不算入制度」を正面から述べる。

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