千倉書房 連載ブログ

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クロスボーダーM&A弁護士の現場から(1)

最近のM&A市場の状況
弁護士になって以来、外資系法律事務所のM&Aチームという所属は基本的に変わらない。担当する案件は、クロスボーダー関係が多いものの、国内企業同士のM&Aも結構扱ってきた。最近のM&A市場の状況は、昨年のリーマンショックの前後1ヶ月間、突如として不気味なほど静かになったものの、不況状況なりのM&A取引が徐々に出始めているという印象だ。具体的には、自分の職場では、現在、国内案件では救済型M&A、クロスボーダー案件では日本企業による海外企業の買収という流れが主流である。

国内—救済型M&A
救済型M&Aとしては、倒産手続に入った企業から事業を買収する場面や、倒産までは至らないものの上場維持が困難な上場企業を競合他社が買収するという場面がある。この点、救済する側としても必ずしも現金に余裕があるわけでないので、株式を対価とした買収が検討される傾向がある。例えば、私の職場でも、株式を対価とした買収手法である株式交換や合併に関する相談が増えている。

クロスボーダー案件
クロスボーダー案件のうち、海外企業による日本の企業や事業の買収というインバウンド取引については、海外の不況のほうが深刻な感がある現在は静かである。しかし、今後、海外の経済状況が落ち着いた場合には、外資による不良資産の買取という、かつて流行した図式が再現される可能性は十分にあると思う。ここでいう不良資産とは、株式、不良債権、不動産などが典型的であるが、前回の不況時になかったものとして、REIT(不動産投資信託)がある。REITのM&Aという話題は、不動産の市況が急激に悪化し始めた昨年から私の職場でもホットであるが、今後、公表に至る案件が徐々に増加する傾向と推測する。

タックスプラニング
M&A取引において税務の視点はいつも重要である。どの場面でも共通する課題としては、?買収プロセスそのものの税務コスト(キャピタルゲイン課税含む)をいかに抑えるかという点と、?買収後の税務メリットをいかに最大化するかという点といえる。次回以降、現在のM&Aの個々の場面について、もう少し説明を加えつつ、それぞれタックスプラニングを行う際の視点を掘り下げてみたい。

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