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クロスボーダーM&Aの税務上のポイント—スキーム策定の基本(12)

日本企業が海外企業を買収する場合(アウトバウンド)について述べる。

今後、世界経済が復興する過程で、大規模な海外企業買収案件をサポートする金融機関も増え、案件数も増加することが予想される。そのような買収案件に直面した場合、その税務上のポイントは何だろうか?

二種類の税務コスト
二つの視点がある。買収取引そのものの税務コストの最小化と、買収後に事業を継続する上での税務コストの最小化である。このうち、前者の買収取引そのものの税務コストは、海外企業の買収という文脈では、通常、外国の税法の問題だ。他方、後者、買収後の事業の継続ということを考えた場合には、もちろん外国の税法の問題も無視できないが、同時に、高税率な日本での課税をいかに最小化するかという点も検討課題の一つとなる。その場合、日本の税制の知識が必要となる。

高税率な日本での課税をいかに最小化するか?
実は、この課題に回答すること自体は簡単だ。それは、?低税率国にある子会社をして買収ターゲットを買収させ、かつ、?買収後の事業継続による利益は、日本の親会社のところへは還流させず、当該子会社のところで海外の再投資に当てること、である。更には、?買収資金を借入で調達する場合、日本の親会社等高税率国にある会社に借りさせることも挙げられる。借入ということは、利息を支払わなければならないところ、その利息は税務上の損金となりうるからだ。つまり、損金は日本のような高税率国で計上できれば全体の税務コストは減る。益金とは逆の仕組みというわけだ。

タックス・ヘイブン税制への注意
「低税率国にある子会社を使う」と言うに易しいが実行は難しい。日本の親会社が、あまりに低い税率の国にある子会社に利益を留保していると、その利益も日本の親会社の課税所得とみなされるリスクがある。いわゆるタックス・ヘイブン税制とか、あるいはCFC税制といわれるものである(租税特別措置法66条の6)。低税率国にある子会社を利用したクロスボーダーM&Aのスキームを策定する場合、かかるリスクを減殺することが必要である。タックスヘイブン税制の適用を避けるためにはどうしたらよいのか?方向性としては二つある。一つは、低税率国といってもタックスヘイブンに該当しないような国を選ぶこと。もう一つは、タックスヘイブン税制の適用除外の要件を充たせないか探ることである。

次回は、この点をもう少し詳しく述べたい。

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