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インドの移転価格税制(24)

インドの変貌
  先月、国際会議出席のため、104回目のインド訪問の為、近代的になったムンバイ国際空港に降り立ちました。最近は入国審査もスピーディーですが、34年前初めてのインド訪問では、うだるような暑さの中、非効率な入国審査で空港を出るまで4時間近くかかり、空港を出たとたん、驚くほどのたくさんの物乞いが待ち受けているのを見た時は別世界に来たような衝撃を受けたことを思い出しました。
1990年には、歴代ネル一政権が進めてきた社会主義的な経済政策が行き詰まり、国の財政は破産状態に陥りました。その後、現在の首相のマンモハン、シン財務大臣のもと強力に経済改革が推し進められ、外国との貿易、税制を含め投資に関する規制を緩めてきたことも効を奏し、2035年には日本のGDPを追い抜くと言われるまでになりました。日本企業にとってもポスト中国市場として大きな注目を浴びているのはご承知のとおりです。
  ここでお断りしておきますが、筆者は税務の専門家ではありません。長年インドビジネスに関わってきました。その間、3回ダンピング課税で訴訟されたことを含め、様々な問題に直面した経験を基に、インド進出日本企業の支援をさせていただいております。最近は移転価格税制で悩んでおられるインド進出の日本企業がかなりあり、今回少しでも参考になればと思い、移転価格税制の法律や事例もさることながら、実態ができるだけ浮き彫りになるように筆を進めていくつもりです。

厳しい徴税姿勢
  官吏の汚職体質に驚かされます。今回も、空港に迎えに来たドライバーの運転する日本製の車が交差点を黄信号で渡ったところ、物陰で待ち構えていた警官が突如表れ、信号無視であると通告、免許の提示を求められる場面がありました。当の運転手は慌てるでもなく、200ルピー(約360円)を免許証に挟み無罪放免。現場官吏のモラルの低さは日本では考えられないほどです。ドイツの調査機関の賄賂ランキング調査でインドは、世界30カ国中第1位という不名誉な格付けがされています。
インドの移転価格税制は、先進諸国のそれと大差ないと聞いています。しかし、執行においては、大きな違いがあると言われています。インドの税務調査官は、極端に厳しい徴税姿勢を保持しています。その税務調査官の厳しい徴税姿勢は、交通取締り警官と同様なモラルの問題と一脈通じるところがあります。厳しい徴税姿勢が必ずしも正しい税法の解釈を志向するのではなく、納税者と袖の下で決着を志向する傾向もあることが背景にあります。

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