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Q6「TPPのようなメガFTA/EPAの貿易は、今までの二国間貿易とどこがどう違いますか?」

TPPのような、メガFTA/EPAでの貿易を、Q5で分析した今までの二国間貿易と比較しながら、整理しましょう。最も大きな特徴は、メガFTA/EPAでの貿易では、商流と物流の分離が数多く起きます(商物分離)

①物流

物流面から説明します。TPPでの貿易では、TPP域内では、関税が課せられない、あるいは段々と逓減していくため、国内で工場を移すように、労働集約型産業では、労働力の安い国で、製品の一部を製造するようになります。技術集約型の産業では、技術の優れた国で、製品の一部を製造するようになります。TPP域内での分業化が進みます。原油価格の低落・省エネで海上輸送コストが低減され、単位あたりの海上運賃が、国内輸送よりも安い場合も多いのです。

関税が課せられないため、あるいは逓減税率が適用されるためには、TPPに規定する原産ルールに従う必要があります。細かくは後のQ&Aで詳述します。また、製造品をスムーズな物流で移動させ、最終製品にして、消費者に売り渡すために、分散した製造ポイントのどこかで、在庫滞留することが、許されなくなります。また消費サイドでの好みの移り変わりが激しく、リードタイムを短縮する必要があります。在庫の廃棄損は、企業収益を大きく圧迫するからです。IoTやAIの発達で、中間チャネルの管理が可能になり、在庫のきめ細かい管理が可能になってきます。

②商流

次に商流面をみます。商流は、課税を「コスト」とみて、コスト低減の方向に、とんどん動いていきます。なぜなら、企業は税引き後のキャッシュ・フローを最大にするように、行動するからです。国際課税には二つのルールがあり、対立交錯しています。居住者が世界のどこで稼ごうとも課税する居住地課税原則と、所得の源泉がある国でのみ課税する源泉地課税原則です。居住者が源泉地課税原則国で所得を稼ぐと、居住地国でも課税され、二重課税が発生してしまうので、その二重課税を解決(回避)するために租税条約が締結されています。

TPPでは、関税が課せられない、あるいは逓減税率が適用されるため、物流はTPP原産ルールを満たすべく、(一部例外規定もありますが)TPP域内で自由に動くことができ、他方、商流はTPP域外に出て、TPP域外国に利益が還流することもあり得ます。

むしろ、この流れは最近よく見られるようになっています

商流の流れの中で、リスク・リターンの配分原則に基づいて、利益配分がなされます。国際税務の中に移転価格税制という考えが、確立されています。これについては後のQ&Aで補足説明します。

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