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「グローバル企業の行き過ぎた節税戦略」を検証する。その3

前回の議論を敷衍して、もう一歩、グローバル企業の行き過ぎた節税戦略に関するプロローグの議論を進めたいです。ベトナムの法人税の税率は25%ですが、世界には法人税を課していない国がいくつかあります。642-374 certification
これらの国がタックスヘイブンと呼ばれる国です。タックスヘイブンを利用した事業再編について検討します。

【設定】
・ A社はIT関連機器を製造販売する日本企業である。
・ 本社機能のみを日本に残し、すべての研究開発、製造、640-864 販売機能をベトナムに移した。つまり人・物・カネを日本からベトナムに移した。
・ 数年後、タックスヘイブンのX国からの企業誘致を受けたA社は、すべての研究開発、製造、販売機能をタックスヘイブンのX国に移した。再度、人・物・カネをベトナムからタックスヘイブンX国に移した。
・発生する売上原価及び一般管理費はベトナムとX国とで同じと仮定する。

【ベトナム事業モデルの収益状況】
ベトナム事業モデルのA社の連結損益計算書は以下の通りでした。

【タックスヘイブンのX国事業モデルの収益状況】
人・物・カネをベトナムからタックスヘイブンX国に移す事業モデルでのA社の連結損益計算書は以下の通りになります。

事業をタックスヘイブンのX国に全面的に移したことによる収益改善効果は絶大です。税金の欄を注目して下さい。ベトナム事業モデルの税金は25ですが、タックスヘイブンのX国事業モデルの税金は0になっています。その結果、収益性は著しく改善され、想像を絶する節税効果が収益を改善させています。タックスヘイブンのX国事業モデルでは、どこにも法人税は支払っていません。課税庁からみればかなり由々しき事態です。しかし、人・物・カネを移した事業再編の結果、節税効果が大きいから問題であるとする必要はないと思います。
私見ですが、単に由々しき事態があるからと行き過ぎた節税という名目で課税することは、裁量主義による課税につながる恐れがあり慎むべきと考えます。そこで、次回はBEPSレポート が問題とするグローバル企業の行き過ぎた節税戦略がもたらす「税源浸食とは何か」について検討してみたいです。

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